豆粒ほどの人の励ましの声が聞こえて来ます

これは、梯子場が終わって、やっと大樺沢のてっぺんに出るあたりで、バットレスを見上げて撮った所です。なので、岩の亀裂が寸詰まりになってます。
どうやったって、巨大すぎて、カメラなんかでは納めきれないスケール。
さっきの梯子場の上の方で撮ったやつを見せましょうか。
真横から見た所です。

これでさえ、上下方向に百分の一も納めてないと言ったら、そのスケールがわかるかなぁ?
豆粒ほどの人間が見えますか?
もうちょっと拡大してみましょう。

ロッククライミング中の人たちです。
この岸壁が、八本歯の梯子場の真正面にそびえ立ってるんですよ。
距離は、新宿駅から大久保駅ぐらいまで離れてるかなぁ。
彼らの声が、すぐ傍らで聞いているかのようにはっきりと聞こえるんです。
それぐらい、山の中ってのは静かなんですよ。
ところでね、下に3人かたまってるでしょ。
その内の一人が、どうやら怖じ気づいちゃったらしくってね、膠着状態が続いてたんです。
ファイトォ〜!ってな声がこっちまで聞こえてくるんですよ。
思わず僕も手に汗握っちゃってね、なんとか勇気を出して最後まで登って欲しいと思いましたよ。だって、あんなところじゃ、降りるに降りれないしねぇ。
いやぁ〜、あんなおっそろしいところ、僕はまっぴらですがね。

さて、こんなおっそろしいところでも、我が物顔に振る舞ってるやつがいます。
これは、その子の食卓。
まぁ、天然の餌台ですね。
普通の餌台とちょっと違ってる所と言えば、ここを利用してる生き物自身が、
ここに食べ物を運んできて食事するといった点でしょうかね。
ハイマツの実を運んできては、せっせとタネをつついていました。
餌台の主は誰だって?

そう、ホシガラスです。
この子は、ハイマツのタネを岩場の草地に隠しておいて、
あとで食べたりするんですが、時々隠した場所を忘れるみたいなんです。
それでハイマツの林が広がっていくんだそうですよ。
自然というのは、何ともまぁ、うまくできてると思いませんか?
ところで、今回の確認事項。
物の本を見ると、時々このハイマツ林の拡大について、ハイマツのマツカサは熟しても開かないために、タネをまくためにホシガラスの協力が必要不可欠だというようなことを書いてるのを見かけるんですが、どうも眉唾な感じがしてたんですよね。
で、今回こんな画像を撮ってきました。

ちゃんとタネが露出してます。
つまり、正確に言うなら、ハイマツのタネには他の松のタネのような翼がないために、
タネを遠くに移動させるためには、ホシガラスの力を借りる必要があると言うことになりますね。