気ままニュース152

サルビアの葉っぱの上でデート中のアオマツムシカップル
万博八草駅で、リニモへの乗り換えのため行列をしてたら、
ちょっと奇妙なことに気がついた。
高さ50cmぐらいしかないプランターの植物に、アオマツムシがわんさかたかっているのだ。
アオマツムシ?
そう、あの、街路樹の上の方で
リーリーリーリーリーリーリーリーリーリーリー
リーリーリーリーリーリーリーリーリーリーリー
リーリーリーリーリーリーリーリーリーリーリー
リーリーリーリーリーリーリーリーリーリーリー
と、綺麗を通り越して、騒々しく鳴くあの子たちです。
なんでアオマツムシが、こんな背の低い草の上にいっぱい?
見渡すと駅前はいかにも急ごしらえで、アスファルト舗装の広々した駐車スペースの端っこに、いくつかプランターが並べられているだけ。
まわりも見渡す限りオオアレチノギクなんかの帰化植物が茂る、いかにも今年の春あたりまでは裸の土地だったような場所ばかり。
ひょっとしたら、去年あたりはこの辺にも林かなんかあったんじゃないかな?
そんな感じの開発したてのところといった感じだった。
そう、きっと去年まではこのあたりにも木がたくさん生えていて、その上でこの子たちが大合唱してたんでしょうね。
それが突然の開発で、卵がかえったら、登るべき木が1本も無くなっちゃってる。
で、仕方なしに、少しでも葉っぱの繁ってるプランターに陣取ったんじゃないかなぁ。
そんなことを愚考しながらも万博会場入り口についた。
が、ここで一悶着。
ペットボトル持ち込み禁止なんだそうな。
持ち物チェックされたとき、僕のリュックの中には空のペットボトルが1本。
これもダメだという。
中に虫がいるんで、捨てていくわけにはいかないと説明すると、
「虫の持ち込みは禁止だ」という。
実は、家を出掛けた直後に、アスファルトを迷走しているツマグロヒョウモンの幼虫を見つけてレスキューしたのだった。
サナギも見せたかったしね。
で、そのときたまたま持っていたお茶を飲み干して、カラのペットボトルにタチツボスミレの小枝数本とイモムシ君を入れて持ち歩くハメになったのだよ。
で、虫入りペットボトルは、ペットセンターに預けなくちゃいけないってことに。
ペット?
ま、良いんですけど。
手続きするとき、まぁどうせろくな解答は来ないと思いつつも、一応聞いてみたのだった。
すると、さっそく電話で問い合わせてくれて、
「場内の生態系を守るために、ペット類の持ち込みは禁止しています。」
生態系を守る?
ツマグロヒョウモンは、このあたりなら、おそらく万博会場周辺にもわんさかいるはず。
ごく普通の昆虫だ。
会場内では絶滅してるかも知れないけどね。
ここ数十年で急速に北上したから、本来の分布地の三重県よりも北のエリアでは、
遺伝的多様性も乏しいはず。
こんな虫1匹では、生態系に影響を与えるのは不可能だ。
例えば、帰化生物のアオマツムシの方がよっぽど影響が大きい。
そんなことを考えながらも、係のおねぇちゃんにそんなことを説明しても始まらないのは明らかなので、さっさと書類に記入して中に入れてもらうことに。
と、書類には、ペットの名前を書く欄が。
「必須!」なのだそうな。
とほほ。
仕方がないので「いもむし」と書く。
すると係のおねぇちゃん曰く、それだけじゃ名前といえません。
仕方がないので「ツマグロヒョウモン」と書き添える。
書類には「ツマグロヒョウモンいもむし」君となった。
一応、名字までついた形になったので? OKをもらえてやっとゲートの行列に最初から並び直すことを許された。
時間ロスは約1時間。
シクシク。
ちなみに、このペットセンター、受け取りのさいペットの生死は保証できませんとおっしゃいますのよ。
信じられます?奥様っっ!!
で、中にはいると、ごらんの通り、見事に保存され厳重に管理された、日本本来の生態系が.....
全く残されていなかった。
スカイウォークだって、当初の計画では、「敷地内の森林を守り、環境への影響を最小限に抑えるため」のものだったと記憶しているのだが。空中の通路なら、地上を移動する小動物への影響も最小限に抑えられるから、だから開発しても大丈夫とか言う、そんな言いぐさだったと記憶してるのだが。
周囲の林はことごとく伐採され、スカイウォークの下も人間様の通路になってるじゃんかよぉ〜。
こうなることはわかってたから、怒る気もしないのだがね。
えぇ、分かり切ってはいたけれど、目の当たりにするとやはりやるせない。

それより、目の前の寄せ植えから妙なる声が。
なんと真っ昼間からアオマツムシの大合唱が聞こえてくる。
一瞬、スピーカーから虫の声なんか流して、自然っぽく演出ってやつ?とか思ったんだけど、
ホンモノだった。
へぇ〜?
じゃぁ、と思って、カネタタキやクサヒバリを探したけど、やっぱりいなかった。
カンタンの声なんぞ、望むべくもない。
夜になっても、エンマコオロギ一匹鳴かなかった。
愛地球博だって?