6時20ごろ目覚めました。
ラジオで、東京からは富士山がよく見えている、といいます。
窓のカーテンを開けると、浅間山は見えません。
それでも妙義山や榛名山が朝陽に光っていました。
窓には結露がいっぱいです。
夕べは3時ごろ目が覚めただけで、9時の消灯からぐっすり眠れました。
ただ暖房が利き過ぎ、暑くて寝苦しかったのでしょう。
掛け布団が床に落ちていました。
9時、主治医O医師の回診がありました。
「変わったことはありませんか」
「ええ、ありません」
「はい、それでは今日1時半から始めますね」
簡単な会話で終わりました。
外来のとき受診したH医師ではありませんでした。
手術はO医師がするのでしょうか。
9時30分、手術着に着替え点滴開始。
ソリターT3号、手術の前に輸液(体液)を補充。
11時、外科病棟の看護師さんから手術室に行ってからのことを説明してもらいました。
「入れ歯や揺らぐ歯はありませんか」
「ありません、あっ、ちょっとぐらつく奥歯があるのですが・・・」
「前歯がしっかりしていれば大丈夫ですよ」
口から喉に管を入れ呼吸を助けるといいます。
麻酔が効くと自分で呼吸ができなくなってしまうからです。
「入れるときや、抜くときは痛いんでしょうかね」
父が苦しそうに人工呼吸器を挿入した時のことを思い出しました。
「麻酔が効き始めているので、それ程は感じないと思いますよ」
看護師さんの言葉に少し安心しました。
次に病棟の看護師さんが来て排便があったか聞かれ、
ないと言うと、座薬を持ってきてくれました。
11時20分、起きあがって外を見ると、浅間山や八ヶ岳が見えてきました。
11時40分、排便。
まだお腹はゴロゴロしていて、そのことに気を取られ、手術する実感が沸きません。
お昼を食べ終わると、いちじんさんが来てくれました。
もうすぐ、手術室に呼ばれるので緊張するころでしょうが、
ずっと話をしてくれていたので時間が経つのを早く感じられました。
写真を撮りっこしてひと遊び。
看護師さんが迎えにきました。
手術室は別棟の2階にあり、そこまで歩いて行きました。
扉の前で後ろを振り返り、いちじんさんにバイバイと手を振って別れます。
ここでメガネを外したのでよく見えませんが、広い部屋にベッドがいくつかあります。
「こちらのベッドに腰をかけてください」と言われました。
手術着を脱ぎ、上半身裸になるとすぐにタオルをかけてくれ横たわりました。
手と足を固定されました。
口に酸素マスクを当てられます。
この間わずか数分。
緊張する間もなく、
「麻酔を入れていきますね。だんだん眠くなってきますよ」
医師の言葉がはっきり聞こえます。
「Yさん、分かりますか」
再び医師の声がしました。
ここはどこなのでしょう。
寒気がするので電気毛布をかけてもらいました。
「どうですか、寒くないですか」
「暖かくなりました」
そう言いながら、またウトウトしていました。
「Yさん、分かりますか」
とまた声を掛けられ、目が覚めました。
前にある大きな時計は7時45分を指しています。
「あの時計合っていますか」
と思わず言いました。
「もう8時になりますね。長かったでしょう。これからお部屋に帰りますね」と看護師さん。
歩いていけるかと聞かれましたが、少しふらつくので車椅子に乗せてもらいました。
部屋を出て角を曲がると、すぐ私の病室でした。
手術室の近くにあるとばかり思っていた集中治療室は入院病棟の同じ階にあったのです。
いちじんさんがこちらにやってきて手を振っています。
そして一緒に部屋に入っていきました。
何が何だか分からないまま手術は終わったのです。
ベッドに横になるのが痛くて大変です。
やっと横になると喉の渇きを覚えました。
もう水分が取れるので、ポカリスエットを買ってきてもらいました。
しかし、起きあがろうとすると痛くてで飲めません。
いちじんさんが水のみを借りてくれました。
このまま寝てしまおう。
ところが痛みが激しくて眠れません。
それに隣の患者さんのいびきが気になって。
何度もトイレに行きました。
その都度、ナースコールをして看護師さんにつき添ってもらいました。
手術は知らない間に終わった感じですが、術後は長い夜を味わいました。