「これで納得! 目からウロコの音楽用語の話」
ぐんま音楽協会主催で会員向けの講座ですが、
一般でも入場できるというので行ってみました。
講師はピアニストの関孝弘先生。
音楽用語は全てイタリア語です。
「イタリアに留学したとき、音楽用語が日常茶飯事に飛び交っていた」
というお話から始まりました。
日常会話から言葉の意味を知ると、
用語辞典に載っている説明が間違っているのに気付いた、といいます。
まず、
遅い用語を書き出し、客席の人に意味を尋ねました。
LENTO 遅く
LARGO 幅広くゆるやかに
ADAGIO ゆるやかに
「みな正解ですね。それでは遅い順に並べてください」
と先生。
客席はシ〜ん、としています。
「そうですね。同じような言葉で解りませんよね
しかし、イタリア語ではまるっきり違う意味なんですよ」
先生は店で洋服を買う時を例に、意味を説明してくれました。
LARGOは ぶかぶか
LENTOは ちょっとゆるいかも・・・
ADAGIOは ゆったりした安心感のある着心地
そこで音楽用語として遅い順は、
LENTO A 遅く
LARGO @ 幅広くゆるやかに
ADAGIO B ゆるやかに
ということです。
次に TENUTO と SOSTENUTO の違いについて。
どちらも「音を保って」です。
SOS は ラテン語で SUB、下という意味で、
英語の SUBWAY、SUBMARINE の語源です。
従って、SOSTENUTO は 下から支えるように、持ちあげるように
という意味合いがあるようです。
言葉の意味は分かりましたが、実際にどうやって弾くのか
私には難しいことです。
次は STACCATO
これについて先生は声を大にして和訳の間違えを訴えていました。
「弾む」「切って」「短く切って」というのはもっての外といいます。
こういう教育が、
「日本のピアニストはタイプライターだ」と言われる所以だと言いました。
私は日本人がそういう評価を受けていることを知りませんでした。
本当のことなのでしょうか。
STACCATOとは 「離す」という意味があるといいます。
音を1/2にする、という解説が載っている辞典は本箱の片隅に置くように、
とまで言いました。
そこまで非難できるのは、相当自信があるのでしょう。
しかし、そこまで否定して良いものなのでしょうか。
先生の素晴らしさも知りましたが、
他の人がした仕事を批判することに疑問を感じました。