ロイヤル華ガーデン
「今度エベレスト街道を歩くんですよ」
いちじんさんはマスターに言った。
「ええ〜、それはいいですね。実は私も行ったことがあるんですよ。
ナムチェから、ええ〜と、ゴンパまでですかね」
マスターは目を輝かせてそう言った。
「ゴンパではなく、タンボチェではないですか」
タンボチェにあるゴンパのことを言っているかと思い、私も会話に加わった。
「そうそう、そうでした。良くご存じですね」
「私たちも同じところまで行くもので」
マスターとは
リンク高崎店で美味しいコーヒーを入れてくれる人だ。
リンクは福祉作業所「トモロの森」の所長さんから聞いて知った。
そこで作ったずんだ団子やキムチを食べたことがあり、どこで売っているか聞いてみると
「近々リンクという店ができ、そこに置かせてもらうよと思っているんですよ」と言う。
そんな縁でリンクに足を運び、一角にあるコーヒー屋さんでマスターと話すようになった。
マスターは元大学教授。
話は多岐にわたり、まるで大学の授業を受けているようだ。
今回はいちじんさんが私たちのHPを紹介しようと名刺を渡した。
「きれいですね。タカネマツムシとベニヒカゲでしょう」
そこ載せてある小さな画像見てマスターはそう言い、私たちは驚いた。
「これは高い山にしかいませんよね。どこで撮ったのですか」
「長野県の烏帽子岳です」と答えると、「ああ、やっぱり」と言う。
マスターは軽井沢に住んでいるので烏帽子岳のことも知っているのだろう。
「昔、山をやっていたんですよ。だから花とかチョウを自然と覚えましたね」
ますます話が面白くなり、いちじんさんはエベレスト街道を歩くことを言った。
まさか、マスターも同じ道を歩いたなんて・・・
カトマンズにはどれほど滞在するか聞かれ、フライト予備日の一日だけと言った。
「もったいないですね。せっかく行くなら10日位いなくては・・・」
マスターの目はますます輝いた。
そしてカトマンズのことをいろいろ話してくれた。
山仲間がカトマンズからルクラへ飛ぶ飛行機の墜落で亡くなったという。
その合同慰霊碑がカトマンズの郊外にあり、慰霊祭に行ったこともあるそうだ。
また、知り合いが経営している日本食のレストランを勧めてもらった。
店の名前は覚えていなかったが、知り合いの名前を教えてもらい
ネットで検索して
ロイヤル華ガーデンと分かった。
店は宿泊するホテルから歩いてでも行けそうな距離だった。ぜひ訪ねてみよう。