第二回目は、一回目のときに知り合ったHさんの紹介でソプラノの演奏をお願いすることになりました。
彼女は佐藤歌純さんといい、まだ学生さんです。
今回はステージを用意しました。
演奏者との打ち合わせのとき、そんな希望があり、すぐに思い浮かべたのがIさん。
中学のクラスメイトで1回目から協力してもらっている人です。
彼は仕事柄、そんなことも得意なはず。つい、甘えてしまいました。
椅子も毎回彼が用意してくれています。
午後2時半の開演に先立ち、1時からリハーサルが終わりました。
「お友達を呼んできてもいい?」
部屋から出てきた母はそう言いました。
近所迷惑になるのでは、と心配し2回目のコンサート開催を快く思っていなかった母です。
ソプラノの歌声が母の心を動かしたのでしょう。
「それはいいわね。もうじき始まるから早く呼んできて」
ということで、近くに住む母と同年代の老夫婦、母より少し年下の女性もやってきます。
人数分だけの椅子をセッティングし終えたばかり。
ダイニング用の椅子を私たちスタッフ分として玄関ホールに並べました。
いよいよ開幕です。ところが、演奏者の姿はまだありません。
いったいどこにいるの?という観客の声が聞こえてきそうです。
あたりをキョロキョロ見回す人もいました。
2人は向って右側の階段から降りてきました。
真っ赤なドレスがパッと花開き、会場が華やぎます。
歌純さんは、それぞれの曲を解りやすく紹介しながら澄んだ声を披露してくれました。
そしてピアノの橋本由香さん。
30分の演奏後、休憩に入りました。
2部のスタートはピアノの橋本由香さんのソロから始まりました。
そして、歌純さんはドレスを着替えてくれました。
これは私のリクエストです。
なぜって、着飾った人を見るのも楽しみの一つだから。
クリスマスの季節らしく赤とグリーンでの演出でした。
「次の曲が最後になりました」
この言葉には弱いです。
どんな演奏会でも、この瞬間、寂しさを覚えます。
演奏は「babbino caro caro」
彼女の歌声が室内にいっぱい響きました。
途中、休憩があったものの、1時間半のステージをこなすのは、相当大変なはず。
最後まで美しい声を聴かせてもらえました。
そして、アンコールは童謡「ふるさと」
歌純さんは一番を歌い終えると言いました。
「みんさんも、ご一緒にいかがですか。ちょっと立って体を動かしましょうか」
私たちは一斉に立ち上がり、腕や腰を回してリラックス。
そして、みんな楽しく歌いました。
私たち観客が楽しめたのはもちろん、
小さなステージならが彼女たちも満足感を得られたことでしょう。
2人の笑顔からそう感じられました。