7月のある日、いちじんさんの同僚と私たち夫婦の三人で飲みに行ったことがあります。
Sさんは足利に住んでいて、いちじんさんと前橋であった会議に出たあと高崎まで来てくれたのです。
まだ日が高かったので新居を見て欲しいと、我が家に寄ってもらいました。
Sさんはピアノが得意。弾いて欲しいというと、ためらいながらも鍵盤に向かってくれました。
何曲か弾くとだんだん盛り上がってきます。
クラシックを勉強していましたが、学生のころバイトで楽器メーカーのデモンストレーションをしたことがあり、
ポピュラーやジャズもこなします。
「楽譜がないと弾けないな・・・」
と言いながらも、次々と弾いてくれます。
「枯葉」など適当にアレンジしているそうですが、実力がなければそれもできないはず。
うっとりと聞き入っていました。
Sさんに、ピアノを習いたいけれど、どんな本を買ったらよいか、と尋ねてみました。
実はピアノを買う前、少し習ったことがあります。
大人向けの教本がたくさんあり、その中から先生が選んでくれた本を使いましたが、
弾いていたさほど楽しくないのです。
ピアノがないから練習できないこともあり、3ヶ月ほどで止めてしまいました。
初心者には楽しく弾く曲がないのでしょうか。
しかし、Sさんはそんなことないと言いました。
しばらくして、こんなのを練習してはどうですか、と一枚の楽譜をもらいました。
Sさんの手書きのものです。
曲目は「主よ、人の望みの喜びよ(カンタータNO、147」
「バッハの譜面ですが適当にペダルをつけて弾いてみてください。
ペダルを踏まないと曲になりませんので〜」
こんなコメントが付いていました。
初心者にも弾けるようにと簡単で短めにアレンジしてくれたのでしょう。
でもペダルの踏み方なんて知りません。
ちょっと弾いてみましたが、右手の音が飛んでいて難しいです。
拒否反応を示してしまい、ピアノに触れることがなくなりました。
ずっと譜面はピアノの前にあります。
しばらくして右手だけでも練習しようという気になりました。
きっかけはメロディーが美しいから。
今のところ弾けるのは初めの8小節だけ。
一回に10分ほど弾いてみると飽きてしまいます。
それでも続けているとだんだん慣れてきます。
そして左手も、と両手で弾こうとすると、滅茶苦茶になってしまいます。
この調子ではいつ仕上がるのでしょう。
少しずつ練習すればいつかは、と思っています。