主人公の月城ミーナは、もともとはテレビドラマ「電車男」のオープニングに登場したアニメの登場人物、いわば「劇中アニメ」の主人公だったのだが、こうした「使える」キャラをあのフジテレビが放っておくわけはなく、2007年の1月から3月まで、スピンオフ作品となる本編が東京ローカルの深夜枠アニメとして放映された。
もっともアニメの設定は「電車男」とは微妙に食い違っており、同キャラを使ったオリジナル作品という色彩が濃い。お話は王道の変身ヒロインもので、女子高生があるアイテムを使うことでスーパーヒロイン、月城ミーナに変身するというよくあるパターン。ただ、少し違うのはヒロインの佃美奈がただの女子高生ではなく、初の女子高生アナウンサーでもあるという、最初からムリムリの設定であることだ。もちろんこれはテレビ局(ルナテレビ=もちろんモデルはフジテレビ)を舞台にした話にしたかった、という事情もあるのだろうが、月島近辺の昔懐かしい風景が出てきたり、美奈が「ゆりかも
ね」で通勤していたりする、独特のディテール感を出すためでもあったのだろう。
しかし、作品の世界観はかなりぶっ飛んでいて、この世界では宇宙人の存在は周知の事実であり、宇宙で唯一スポーツの盛んな地球めがけて殺到する不良宇宙人たちを取り締まるために、ミーナたち「ラビットフォース」が結成された、ということになっている。お話は一話完結方式で、あの手この手で地球に干渉してくる宇宙人たちをラビットフォースが蹴散らすというものだが、この世界観を受け入れられるかどうかで作品の評価は変わって来るかも知れない。基本的にはギャグをまぶしたパロディアニメ路線なのだが、明瞭に何のパロディだと判るほどでもないため(極論すればヒーローアニメや変身ヒロインものというジャンル自体のパロディ)ただの悪ふざけとしか受け取れない視聴者も出てきそうだ。
放映されたのは全11話であるが、実際に製作されたのは1クール分13話であったらしく、未放映分はDVDソフトの特典として収録されるそうだ。そのせいか、最終回に登場するミーナたちのなかに見覚えのないキャラが混じっていたり、ミーナたちの使う兵器の設定が当初と異なっていたりする(終盤のエピソードまでは、毎回月面の秘密基地から「赤方偏移型重力カタパルト」=なんだそれ?=でいちいち射出していたのに、いつの間にか変身した瞬間から装備していた)変化が見られる。
テレビドラマは11話くらいの長さが今では普通だが、テレビアニメだとちょっと珍しい短さだ。個人的には番組独特の変なノリ(ほとんどの女性キャラが実はミーナだったり。個人的には六棟も最終回で変身したら大笑いだったのだが^^;)はけっこう気に入っていたので、せめて2クール分くらいは続けて欲しかったのだが。・・・
★★★

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