「アリス・イン・ワンダーランド/ティム・バートン;2010年アメリカ映画」
映画
ご存知、「不思議の国のアリス」を鬼才ティム・バートンが映像化した作品。原作をそのまま映画化するのではなく、原作から13年後、結婚適齢期に成長したアリスがふたたびワンダーランドにやって来る、という設定に変更されている。
話の概要を聞いたとき、いかにもティム・バートンらしいグロテスクな世界観で彩られた作品になるのだろうな、と半ば期待したのだが、意外や意外、確かに匂いはそれらしいものの、基本的にはルイス・キャロルの創造した世界から大きく逸脱することはなかった。今回の製作会社はディズニーである。おそらく、企業イメージを守るためにティム・バートンらしさをあまり強調しないよう釘を刺したのではあるまいか。ディズニー恐るべし、である^^;
冒頭に登場したアリスを見て、その顔色の悪さにまずびっくり。ほとんど顔面蒼白で生気がない。もちろんこれは、ワンダーランドで大活躍する生気に満ちたアリスとの対比なのだが、ほとんどの人は主演のミア・ワシコウスカをここで初めて見るわけだから、これはちょっとやりすぎに思える。第一印象は大切なのだ(^^)
正直僕も、個性的ではあるものの、主演に置くには華がなさ過ぎるんじゃないかと最初は思ったのだが、ワンダーランドに行った後は、本人の意思とは無関係に過剰なほど活動的になり(なにしろ薬で小さくなったり巨大化したり、サイズからしてアクティブである)それにシンクロしてどんどん魅力的に見えてくるのだ。だいたいアリスがこれくらい個性的でないと、赤の女王(ヘレナ・ボナム・カーター)と白の女王(アン・ハザウェイ)の間に埋没してしまう^^;
基本的に物語は「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」を踏襲しているが、「鏡の国のアリス」に収録されたテニエルの挿絵(ジャバウォックの詩)にインスパイアされたのか、物語の終盤で、アリス自身がヴォーパルの剣を手に怪物ジャバウォッキーに挑むことになる\(@o@)/
もし今回の映画化を原作者のルイス・キャロルことチャールズ・ドジソン氏が目にしたら、一体どんな感想を抱くことになるのか、ちょっと興味が湧いた。俺の作品をメチャクチャにしやがって、と嘆くのか、イマジネーションの奔流にただただ感動するのか?
少なくとも僕自身は、あまり評判のよくないラストも含めてなかなか気に入っている。唯一文句があるとすれば、ラストシーンに登場した蝶に変身したアブソレムの造形。蝶の翅の模様は表と裏で違うのだということを、キャラクターデザインの段階で誰か教えてやらなかったのか、それだけが残念だ。・・・
★★★★

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