「戦闘機対戦車 砂漠の対決/デビッド・ローウェル・リッチ;1973年アメリカテレビ映画」
テレビ番組
スピルバーグが「激突」を発表して2年後に撮られたTVムービー。その影響は映画の端々に見られるが、核心となる部分はやはり「執念」であろう。
物語の主人公は当時のTVムービーの常連スター、ダグ・マクルーア演じるところのアメリカ陸軍少尉、カルペッパーなのだが、タイトルロールでは彼はスペシャル・ゲストスター扱いであり、主演は彼の乗るカーチスP-40を追いつめるドイツ軍戦車(どう見たってM4シャーマンなのだが^^;)を駆るピムラー元帥を演じたロイド・ブリッジスとなっている。本編には他にも、カルペッパーとともに出撃したイギリス軍所属のアメリカ軍交換将校マクミラン大尉にロイ・シネス(「インベーダー」の主人公デビッド・ビンセント役で知られる)遭難しかけていたピムラーを拾ったおかげで指揮権を奪われてしまう戦車長シュトッファーにエリック・ブリーデン(「ラット・パトロール」で宿敵ディートリッヒ大尉を演じた)などなど、当時のTVムービースターが顔を揃えている。
話のポイントは、撃墜されて脱出したマクミラン大尉を救助するために強行着陸したカルペッパーのP-40が、ドイツ軍戦車の砲撃で主翼に穴をあけられ、飛べなくなってしまう、というところで、その結果、本来ほとんど接点のない戦闘機と戦車が、同じ平面上で追いかけっこをするというあり得ない設定を成立させている。
残念ながら、ピムラーの偏執狂的な性格を押し通すだけで無理矢理作ったような脚本には、あまり膨らみもなく、B級の水準にも達していないシロモノだが、ロイド・ブリッジスのどこか笑いを誘うキレた演技は、後の「
ホット・ショット」シリーズをも髣髴させる。てゆーか「ホットショット」のキャスティング担当者は、おそらく本編を観てベンソン提督役への起用を決定したのではあるまいか。・・・
★★

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