もうずいぶん昔、テレビ放映された際に一度観た記憶があるが、オチを含めてほとんど全部忘れていたので、今回が初見に等しい^^;
製作のアーウィン・アレンは、その昔の「原子力潜水艦シービュー号」(とその映画版「
地球の危機」)などにも携わった特撮映画の巨匠で、大型パニック映画がはやったこの当時、大活躍した人。「
ポセイドン・アドベンチャー」や「大洪水」「世界崩壊の序曲」など、大掛かりな作品が多い。その中でも抜きん出て評価が高いのが本編と「ポセイドン・アドベンチャー」である。もっとも、本編の成功の大部分は優れた脚本(二本のそれぞれ独立した原作小説「ザ・タワー」と「ガラスの地獄」をひとつの物語にまとめた)と、過不足ないきびきびした演出にあったと思うが。ちなみに、監督したジョン・ギラーミンはあの大駄作「
キングコング」や「
キングコング2」も撮っていて、いったいどういう人なのかよくわからない^^;
舞台となった超高層ビル、グラスタワーはもちろん架空のビルで、ミニチュアを使った特撮なのだが、当時の技術的な限界で仕方ないにしろ、残念ながら本物のビルのようには見えなかった。それに加え、ビル本体とそこに閉じ込められた人々の描写が別々で、実際そこに人がいる、という切実感がいまひとつなのだ。出てくるのが閉鎖空間ばかりで、巨大なビルの内部という雰囲気が全体的に足りず、どうしてもセットのように見えてしまう。今ならガラス越しに外の夜景を見せるなど、さまざまな手法が取れたのだろうが(「
ダイ・ハード」はその辺が実にうまかった)。
巨大な超高層ビルで大規模な火災が起き、逃げ遅れた人たちの救出に消防隊が送り込まれる、という設定は、9.11を経験した後ではどうしてもあのツインタワーの悪夢を想起せざるを得ない。映画のグラスタワーがどういう建築方法だったのか、詳しく描かれてはいなかったが、ツインタワーほど火に弱くなかったのは幸いだった。映画では犠牲者の数を200人ほどとしていたが、現実のツインタワーではその10倍以上の犠牲者が出た。それでも、映画の中で消防隊長オハラハン(スティーブ・マックイーン)が言っていた、一万人の犠牲者が出るような大火災にまでは至っていないが。・・・
★★★★

0