前作「
デッドマンズ・チェスト」の終わり方が思いっきり「続く」になっていたので、こういう作品になることは既定路線だったのだろうが、またも「続く」で終わるとは、このシリーズ、いちおう三部作と銘打たれていた気がするのだが・・・^^;
さて、前作でデイヴィ・ジョーンズ(ビル・ナイ)の放った怪物クラーケンの餌食となり、黄泉の国へと消えたジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)を救出すべく、ブラックパール号の乗組員たちはワールド・エンドへと旅立つのだが、その船長役を買って出たのが第一作「
呪われた海賊たち」で死んだはずのバルボッサ(ジェフリー・ラッシュ)というあたりからして、すでにぶっ飛んでる話である。要するに、ジャックが連れて行かれたのは単なる「死の国」ではなく、デイウィ・ジョーンズが用意した刑罰用の空間、といった設定なのだろうが、それならそれでまったく別の所でもよさそうなのに、目指すのはやっぱり「地の果て」の黄泉の国^^;
異空間に閉じ込められ、分裂した自我とよろしくやっているジャックの描写はなかなか面白いものの、せっかくの凝った設定も、救出された後に出てくるのがたった一箇所、というのはちょっともったいなかったかも。まあ、いろいろ複雑な構成の映画なので(なにしろ上映時間が三時間近くもある!!)これ以上話をややこしくしたくはなかったのだろうが。
ビジュアル的には凄いものの、救出そのものはわりと簡単に終ってしまい、「地の果て」から現世に戻るのもあっさりしたものだ。何しろ本題は東インド会社との戦いなのだから、それにたっぷり時間を割くためにも、表題の「ワールドエンド」のくだりは早く片付けたかったのだろう。
前作でデイヴィ・ジョーンズの心臓を手に入れ、彼を配下に収めることに成功した東インド会社の総督ベケット卿(トム・ホランダー)はその力を最大限に利用し、海賊たちの一掃にとりかかる。それに対抗するため、海賊たちは協議の結果、かつて人の形に封じ込めた女神カリプソを開放することを決める。後半のポイントは果たして誰がカリプソだったのか、ということだと思ったのだが、いとも簡単にネタは割れ(まあ、死人を甦らせたりする力を持つものが普通の人のはずもないが^^;)話はするすると進んで艦隊決戦に持ち込まれる。
このあたりのビジュアルも、CGと実写の境界がまったく判らない凄さなのだが、前作からこの手のシーンにはもうお腹いっぱいの感もあり、映像の密度に反比例してこちら側の鑑賞意欲はだれ気味になってしまった^^;
以下ネタバレあり、まだ観てない人は読まないように
前作で確か、デイヴィ・ジョーンズを倒した者は彼の仕事を引き継がなければならない、というような設定があったと思うが、結果的にはやや違う結末だったように思う。まあ、後になって考えれば、これ以上のまとめ方もないような気はするので、結果オーライなのかもしれないが。
いちおう「続く」の形で終るのは、シリーズものの形式を取ってきた作品の完結編で往々にして見られるもので、一種のスタイルなのかもしれないが、もちろん本当に続編製作が決定したときには実際の意味を持つわけで、本編も四作目の「生命の泉」への布石という実質的な意味を持ってしまった。この先このシリーズがどこまで続くかは判らないが、マンネリに至る前にピリオドを打つ勇気を製作者ブラッカイマーが持っていることを期待したい。
・・・
★★★

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