2000年の「
あの頃ペニー・レインと」で非凡な才能を見せ付けてくれたキャメロン・クロウの、「セイ・エニシング」に続く第二回監督作品。とはいえ特に気張った感じではなく、どちらかといえばグランジ調のややオフビートなロマンチック・コメディというべきか。
話は独身者専用のアパートに住む男女の恋愛模様を描くものだが、台詞の中にメル・ギブソンとホールデン・コールフィールドが並列して出てきたりする(H・コールフィールドはサリンジャー作「ライ麦畑でつかまえて」の主人公)あたり、脚本も書いているキャメロン・クロウ、やはり只者ではない。
冒頭に登場するキャリアウーマン、リンダ(キーラ・セジウィック)とスティーブ(キャンベル・スコット)のふたりが主人公のラブコメかと思いきや、途中からスティーブの隣人ジャネット(ブリジット・フォンダ)と売れないロッカー、クリフ(マット・ディロン)とのエピソードも描かれ、むしろこちらの方が比重が高いような気さえする。
リンダの職業が環境調査会社のアナリスト、スティーブは町に高速鉄道を引こうと奮闘努力する鉄オタ(壁に0系新幹線の写真が貼ってあったりする)と、それぞれの背景設定もどこかキャメロンらしい。一方クリフのバンド仲間がグランジ・ロックの雄、パール・ジャムのメンバーだったりするのは、さすが監督が元ローリングストーン誌の記者だっただけのことはある。
なかなか自分に振り向いてくれないクリフに業を煮やしたジャネットが、豊胸手術を受けようとするくだりがなかなか秀逸。彼女にほれて手術をやんわりと断る整形外科医は、どこかで見た顔だと思ったら、なんと「
インディペンデンス・デイ」でアメリカ合衆国大統領その人を演じたビル・プルマンであった\(@o@)/
そのほかにも、トム・スケリットやあのティム・バートンなど、そうそうたるメンバーがちょい役で出ていたりするのも面白いところ。
全体的にやや構成が緩すぎるのではないか、と思えるところもないではなかったが、愛すべきキャラクター造形はやはりキャメロン・クロウならではの小品と言えるだろう。・・・
★★★★

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