典型的なファミリー映画だが、こういう楽しさこそ映画本来のものだろう。ややこしかったり重かったりするテーマとは一見無縁なように見えるが、深読みしようと思えばやれないこともないさまざまな要素がうまく散りばめられており、なかなか巧みな脚本だと思う。
典型的な巻き込まれ型主人公であるラリー(ベン・ステイラー)は、この種の奇想天外な冒険譚にはよくあるタイプだが、離婚した妻との間に一人息子がおり、その存在が物語の重要な要素になるあたりも自然な展開。また、物語に子供の視点を織り込むことはファミリー映画の基本だが、そのあたりも同時にうまく押さえている。
以下ネタバレあり、まだ観てない人は読まないように
しかし、なんといっても傑作だったのは、魔法の石版の力で命を宿した展示品たちのキャラクターだ。冒頭、いきなり動き出してラリーを仰天させるティラノサウルスの骨格は、実は骨を投げてもらってそれを取って来るゲームが大好きなだけの、仔犬のような存在として描かれているし、剥製やレプリカの動物たちも本来の姿というよりは、人間の持っているイメージに沿った存在になっている。
中でも傑作だったのはオマキザルのデクスター君との掛け合い漫才^^;鍵を巡る争奪戦はサルというキャラクターを最大限に使いこなしているが、他の動物たちはみなCGによるイリュージョン(ただし出来はさすがに21世紀の作品)だったのに、デクスター君だけは本物のオマキザルを訓練して使っていた(さすがに往復ビンタのシーンだけはCG合成だったようだが)
もちろん展示されているのは動物だけではなく、実在の偉人たちの蝋人形もやはり命を吹き込まれて動き出す。面白いのは、蝋人形たちは自らの人間としての設定だけでなく、自分は蝋人形なのだという自覚もちゃんと兼ね備えているあたりで、特にルーズベルト大統領(ロビン・ウィリアムズ)のキャラクター設定などほとんど職人芸であった。
お話の後半、博物館の展示品みんなを襲う危機のスケールが少々小さく、わりと簡単に解決してしまうあたりがちょっと物足りなくもあったが、その辺の楽しみは続編にとってある、と好意的に解釈しておこう(^^)・・・
★★★★

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