前作に続いて宝探しのお話。歴史学者兼トレジャーハンターのベン・ゲイツ(フルネームがベンジャミン・フランクリン・ゲイツとは!!=ニコラス・ケイジ)がその知力と体力を振り絞って大活躍する、という趣向は、やはりインディ・ジョーンズを髣髴させるが、どことなく小粒な感じがしてしまうのは、ネタがあくまでアメリカ史の範囲を越えられない設定だからか。
しかし残念ながら、最初から「宝探しの話」という前提で始まった前作に比べ、今回ベンが宝探しを始める動機というのがイマイチ伝わってこない。大体、今回ベンが事件に巻き込まれたそもそもの理由は、ご先祖様がリンカーン暗殺事件の首謀者にされた汚名を雪ぐことだったはずなのだが、いつの間にかその目的が宝探しそのものにすり替わり、ラストに至っては大統領誘拐容疑の方にピントが合わされて、ご先祖の件はすっかり忘れ去られていた。
女王陛下と大統領執務室の机に隠された秘密とか、「大統領の本」のエピソードなど、単体としてはなかなか面白いものの、謎の解明があまりにすんなりと進んでしまうため、ゲーム慣れした「名人」が高難易度のRPGをすらすら解いていくのを横目で見ているような雰囲気。上映時間の都合もあったのだろうが、それにしてもちょっと演出に「タメ」がなさすぎた。
それなりに評価できるのは、ベンの両親を登場させ(母=ヘレン・ミレンもまた考古学者である、という設定はあまりにご都合主義だと思うが)ストーリィ展開にうまく絡めたこと。もともとゲイツ一族の物語である(前回も今回も、祖父や祖先といった係累のエピソードから始まっている)というシリーズの前提からすれば、父親のみならず母親までも登場してしまうのは必然だったのかもしれない。
しかし、それならばなおのこと、敵側のミッチー・ウィルキンソン(エド・ハリス)の側ももっとしっかり描くべきであった。どうにもキャラが中途半端で、中盤のカーチェイスのあたりと終盤の宝探しとでは、行動規範がとても同一人物とは思えない。悪役をあまり非道な人間にしないこと、というような縛りがディズニー映画にはあるのだろうか。
彼自身おのれの「正義」と「名誉」との間で揺れ動くキャラとしてしっかり造形されていれば、終盤での不可解な行動が少しは理解できたのではないかと思われる。エド・ハリスという俳優には、まさにそれができる力が備わっていたのだから、非常にもったいないことをした、というのが観終わった後いちばん最初の感想だった^^;・・・
★★★

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