70年代に放映されていた人気アニメ「タイムボカン」シリーズの一本、「ヤッターマン」の実写リメイク作品である。もっとも作品そのものは、ごく最近までアニメでもリメイクされており、むしろそちらの実写映画化といったほうが近いかもしれない。
お話それ自体のナンセンスさや、テンポは実写映画としてはこれ以上無理、と思われるほどアニメの雰囲気を盛り込んでおり、三池監督の原作アニメへのリスペクトを感じることができる。ナンセンスとは言っても話は結構きちんと作りこまれており、ギャグだけに逃げているというわけではないあたりも、やはり監督のこだわりなのだろう。
原作アニメのイメージを大切にすれば、ドロンジョ様はやはり夏木マリか、杉本彩クラスの年増女(最近では「熟女」という便利な言葉があるか^^;)がふさわしいと思うのだが、ヤッターマン一号(櫻井翔)との恋に悩むという本編の設定ではもう少し若くないと無理があり、 深田恭子というキャスティングは妥当なところだと思う。ボンテージ風コスチュームを着こなした深田はそこそこ魅力的だったが、意外なほど色っぽさが感じられなかったのは、こちらの期待が大きすぎたためか^^;
ドロンボー一味の残る二人、ボヤッキーとトンズラーはそれぞれ生瀬勝久とケンドーコバヤシが演じているが、ふたりともいい味を出してはいたと思う。しかし、わざわざ「付け鼻」を強調したような特殊メイク(耳にかけるゴムバンドまで造形する意味がわからない)や、特にトンズラーのらしくない体型(もっとゴリラ的でなくちゃ)など、やや手抜きの印象は免れない。
悪役三人組に比べて印象の薄いヤッターマン一号二号だが、これは原作でもそうだったのである程度仕方ないものの、それにしてもちょっと気になるレベル。主演の一号こと櫻井翔はまだしも、いちおうヒロインであるはずの二号こと福田沙紀の印象の薄さは尋常ではない。けっこう体を張ってがんばってはいたのだが。
本編にはもう一人、ゲストキャラとして探検家の博士(阿部サダヲ)の娘(岡本杏理)も登場するのだが、こちらは二号に輪をかけて存在感が薄く、もう少し何とかならなかったのだろうか、と思うくらいに気の毒だった。
特殊効果のほとんどはCGで作られており、かつてのものから比べれば目を見張るほどのリアリティだが、もちろんまるで実物のように見える、というほどのレベルには達していない。むしろ、ギャグ的効果を高めるためにリアリティを犠牲にしている面もあるようだ。
肝心な登場メカは、動きに関してはアメリカのSFX映画のレベルに到達していると言っていいだろう(ドロンボーの最終メカ、イカタゴサクなど明らかに「
マトリックス」に登場したセンチネルそのままだ)ちょっと残念だったのは、これもアメリカ映画、それもスターウォーズ以降の作品の影響だろうが、メカにいかにも使い古されたようなウェザリングを施してあるように見えるあたりで、いくぶん原作の持つキッチュな雰囲気をスポイルしているように感じる。ヤッターワンにしろ敵メカにしろ、原作ではもっと色鮮やかなイメージだったものが、ちょっとくすんで見えた。特にヤッターワンは赤一色で白の部分がなく、なにか野暮ったくなってしまった^^;・・・
★★★

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