まさかと思った実写鬼太郎の続編。テレビ局が作る映画が採算を無視するはずがなく、続編が作られた、ということは前作がそれなりに収益を上げたことを意味する。スポットCMの効果がそれほど凄いものとは・・・^^;まあ、個人的には凡作の部類に入ると思われる「
踊る大捜査線 The Movie 2 レインボーブリッジを封鎖せよ」が、アニメを除く邦画の興行成績歴代一位を未だにキープしている、という事実がそれを証明しているのだろうが(;o;)
前作で多少馴れたのか、ウエンツ瑛士の鬼太郎はそれほど強烈な違和感こそなかったが(とはいえ、やはり多少のコスプレ臭さはあった^^;)そんなことより気になったのは、冒頭から強調される鬼太郎の無気力ぶりである。もちろん、作り手側としては後半の、なぜそこまでして人間の味方をする、という、ぬらりひょん(緒形拳)の問いかけに対応する形で、鬼太郎のポジションを強調したかったのだろうが(無気力状態からいちど無条件に人間側に立つことを選択させ、それをさらにひっくりかえす)このあたりの変化に年少の観客が付いてこられたかどうか、はなはだ疑問だ。
そもそも、発端からしてやや無理を感じた。いくら身の回りに怪異な事件が続発しているからといって、いきなりねずみ男(大泉洋)に出会い、一反木綿に乗せられてゲゲゲの森に連れて行かれる楓(北乃きい)は、あまりに驚かな過ぎである。アニメならあの展開もあるかもしれないが、実写には実写のルールというものがあるはずだ。
事件には千年前に封じ込められた悪霊「濡れ女」が関係していたことが判明し、それを再び封じ込めるいにしえの楽器を探しに鬼太郎と仲間たちは出かけるのだが、その先で砂かけ婆(室井滋)は、封じ込められた悪霊の哀しい由来を知ることになる。濡れ女(寺島しのぶ)はもと人魚で、漁師海人(萩原聖人)と結ばれるために人間に姿を変えたのだが、折からの不漁を神の祟りと信じ込んだ漁民たちは、鬼道衆と呼ばれる修験者たちに依頼し、彼女を封印してしまったのであった・・・。
あまりの評判の悪さに反省したのか、少なくとも前作よりは論理的整合性のある脚本になってはいたが、一種のジレンマに陥ってしまうテーマを前面に持ってきたために、映画のメインターゲットであると思われる年少者にとって、ちょっと判りにくい物語になってしまったようだ。特に、自分たち幽霊族と人間とのかかわりをぬらりひょんに聞かされ、真実を知ってしまった鬼太郎の決断は、あまりに理性的でありすぎたように思う。
本編が映画での遺作となった緒形拳は、妖怪メイクをしていてもやはり重厚な演技を見せてくれたが、体調が思わしくなかったのか、ほとんど動きがなかった。重鎮的な役柄なので、みずからアクションを演じる必要はあまりなかったのだろうが、映画の性格を考えると、多少のアクションはあってもよかったのではないかと思う。いまはCGもあるし、スタントマンの顔だけ差し替える、なんて芸当だってできる時代なのだ。
田中麗奈の猫娘は相変わらずかわいく、なかなか頑張っていた。前回の生足から今回は赤いタイツになり、セクシーさは半減(1/4減^^;)してしまったが、青年鬼太郎の相手役としてはそれでも申し分ない。前回のCG顔がよほど不評だったのか、今回は戦闘シーンでも顔は素のままで、不自然さはなくなっていた。
前回、付け髭と入れ歯だけでねずみ男になりきっていた大泉洋は、今回も見事なねずみ男ぶりを見せてくれたが、シナリオのおかげでねずみ男らしい自己中さが半減してしまっており、ややご都合主義的キャラに堕していた。ねずみ男があんなに信頼されるキャラになってしまうとは、世も末である^^;・・・
★★

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