ふざけているのか真面目なのか、最後まで観てもよく判らない、一言でいえば「奇妙な味」の作品というのだろうか。タイトルに登場するフランスのアイドル=バネッサ・パラディが持ち歌を何曲も歌っているので、ある意味彼女のプロモーション・フィルムでもあるとは思うのだが、それにしては意外にちゃんと作られているところもあるし、とにかく狙いがよく判らないのだ。
売れっ子スタントマンのジェームス・バタイユ(ジェイソン・フレミング)は、とある田舎町の祭りに招かれてやってくるが、そこで歌のリハーサル中だった町の名士の娘、コンチャ(バネッサ・パラディ)に一目ぼれ。しかし、肝心のスタントショーで大失敗を犯し、祭りをメチャクチャにしてしまったかどで逮捕され、なんと133年の刑期で収監されてしまう。
同じ頃、町外れに宇宙から謎の物体が落下、中からおびただしい数のエイリアンが現れ、音もなくあたりに散っていく。そして、歌手にあこがれるコンチャの前に、インディーズのプロデューサーを自称する怪しい男が近づく。実はこの男、コンチャに出会う前にエイリアンに刺され、次第にその意思をコントロールされていたのだ。一方、コンチャに逢いたい一心で脱獄を果たしたバタイユは、追跡の手を逃れつつコンチャの元に急ぐのだったが、果たして彼女をエイリアンの魔の手から守ることが出来るのか・・・?
バネッサとともにタイトルにもなっているエイリアンの方は、予告やCMでは情けない出来に見えたのだが、実際にはそれほど酷くもなく、浮遊する感じや触角?の振るわせ方など意外に凝った造形だった。たぶん3DCGなのだろうが、合成も自然でフィルム撮りっぽい雰囲気が出ていたし、登場のさせ方も「宇宙戦争」と少し似ていて(トライポッドにこそ乗っていないが)思ったほどいい加減ではなかった。しかし、逆にそれが作品の狙いを判りにくくもしているのだが。
とにかくエイリアンとバネッサ以外のキャラクターの描き方が実におざなりで、ぬいぐるみそのものの犬とか(変な芸をさせるためのパペットなのだが、あまり意味がなかった)どいつもこいつも小汚い男たちとか(垢だらけの臭そうな野郎どもばかり^^;)シナリオ以前にこのあたりの映像ですでに厭な気分になってしまう。いくらバネッサ一人がきれいであっても、このマイナスポイントは相殺できなかった。
しかし、なんとも最悪だったのはやはり意味不明のエンディングで、エイリアンの侵略がその後どうなったのかもわからないし、あのわけのわからないオチにいたっては、ライターの精神状態すら疑わしく思える。だいたい冒頭に登場するナレーター、あいつが誕生しているということは???・・・
★★

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