全然聞いたことない、いかにも韓流っぽいタイトルの映画だし、始まってみると見たことのない俳優さんたちばかり出て来るし、やっぱり韓流か、チャンネル替えちゃおうかな、と思いながら、それでもなんとなく観続けていると、実はこれが仕掛けに満ちた、観客に挑戦するたぐいの映画であることがだんだん判ってくる。
これから観る人のために、その仕掛けがどんなものか、ここでネタばらしすることは出来ないが、これが初監督となる内田けんじ氏は、おそらくタランティーノ監督作品が非常に好きな人なのだろうな、と思える。登場人物ごとに時間軸を設定し直し、それぞれの視点から物語を見せていくという手法はまさにタランティーノ作品そのままだし、なにより核心となるのが「男の友情」であるあたりも「
レザボア・ドッグス」や「
パルプ・フィクション」に通じる。
もちろん、登場人物のキャラクター設定などはタランティーノ作品とは違い、内田監督独自のものだ。特に、本人は自覚しないまま物語の中心に位置している宮田君(中村靖日)の、ほとんど地球人とは思えないくらいの「ほのぼのさ」加減が実にいい味を出している。他の4人の主要登場人物の描写にも過不足なく、それぞれにおかしくも哀しい(?)人間模様がよく出ていた。単なる技巧だけの描写に留まらず、それぞれのキャラクターを生き生きと描ききったあたりが本編の成功の秘訣であろうか。
久々に、次作に期待したい新人監督が登場した。・・・
★★★★

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