「ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女/アンドリュー・アダムソン;2005年アメリカ映画」
映画
なにしろこのジャンルにはすでに「ロード・オブ・ザ・リング」と「ハリー・ポッター」という二大シリーズが存在するために、いかに有名児童文学の映画化とはいえ、本編の価値をどのあたりに見出すかはなかなか難しい問題だ。観終っての感想は、やはり上記二本の影響がいかに大きかったか、というあたりに尽きる。
それを最も端的に物語るのがSFXカットの分量である。いずれの作品にもCGIによる作画が欠かせないものになっているが、なにしろ本編に登場するまともな人間は、主演の兄弟四人と氷の魔女だけであり、あとはしゃべる動物とか半人半獣などの異形の者ばかりとあって、ほとんどすべてのカットに何らかのデジタル加工がなされている。一昔前ならその技術力に仰天したかもしれないが、なにしろこの手の映像には慣れっこになってしまっているわれわれにとっては、だから何なの、という感想しかない。
原作を未読なのでどのくらい忠実なのかはわからないが、読んだ人の話だとそこそこ忠実な映画化らしい。しかし、話の展開はいかにも総花的というか、順繰りにエピソードを羅列している感じで、どうももうひとつリズムを感じられない。
登場する四人の兄弟も、末娘ルーシーを演じたジョージー・ヘンリーはよかったものの、他の三人はいずれももうひとつで、あまり内面に踏み込んだ演技を見せてくれない(まあ、原作自体がその程度の演技しか要求しない物語だったのかもしれないが)シナリオ同様、その演技も「可もなく不可もない」といった雰囲気だ。
解説によると、本編は全七章ある原作の第一章なのだそうだが、本編を観た限りでは第二章にそれほど期待したいとは思わない、というのが正直なところだ。・・・
★★★

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