一昨年(平成16年)の11月26日、京都市営地下鉄東西線の、醍醐駅〜六地蔵駅間の延伸区間2.4kmが開業しました。
この区間が開業したのは私が札幌に帰ってきてから8ヶ月程経ってからのことであり、私が京都に住んでいたときはまだ工事中であったため未だに私はこの延伸開業区間を利用したことはないのですが、この路線延伸工事の進捗状況には、京都に住んでいた頃からずっと関心を抱いておりました。
というわけで、今日はこの路線延伸について少しお話しさせていただきます。
京都市は、 平成10年5月に東西線の六地蔵〜醍醐間の鉄道事業免許を取得し、翌11年10月からこの区間の延伸工事を始めました。
掘削工事中に石田駅工区で異常出水が発生するなどのアクシデントがあったものの、レール敷設などの軌道工事の際に夜間作業を行うなどして25日間工期を短縮することに成功し、一昨年11月、無事開業しました。
開業区間の新設駅は、中間駅となる「石田」と、新しい終点駅となる「六地蔵」の2駅で、両駅ともホームドアを備えた島式ホームの駅です。
この開通により、六地蔵駅〜二条駅間(15.1km)は約30分で結ばれることになり、また、新設駅の六地蔵駅ではJR奈良線や京阪宇治線とも乗継連絡されることになり、今までよりも広域的な鉄道ネットワークが形成され、利用者の利便性が大きく向上されることになりました。
ところで、この開業区間2.4kmのうち、六地蔵駅周辺の0.5kmは宇治市域で、京都市営地下鉄は初めて京都市域を出たことになります。
ちょっとややこしい話なのですが、例えば大阪市営地下鉄・御堂筋線の場合、大阪市域から他市の市域に入っている区間については、実は大阪市交通局は(建前上)その区間の運行や管理には直接関わってはおりません。
御堂筋線の大阪市外区間については、大阪市は阪急などの出資によりわざわざ別会社(北大阪急行電鉄)を設立してその区間の運営に当たらせており、自治体(市の交通局)が運営している鉄道は、原則としてその自治体の市域を出ることができないのです(一部に例外もありますが)。
こういった状況は東京の地下鉄もほぼ同じで、例えば東京メトロの南北線が東京都を出て埼玉県内に入っている区間については、東京メトロとは別会社である埼玉高速鉄道がその運営を担当しています。
しかし一昨年延伸開業した京都の東西線の場合は、京都市から宇治市市域に入っている区間については、同線の他区間同様、京都市交通局が運営を担当することになっており、全国的にみれば、これは少し珍しいケースかもしれないです。
なお、東西線の延伸計画は、六地蔵駅までの延伸で終わりではありません。東西線は今後さらに延伸します。最終的には六地蔵から長岡京までを結ぶ半環状線となる予定なのですが、まずは、二条駅から西に2.4km延伸します(この延伸区間は来年中に開業する予定です)。
この延伸による新設駅は、西大路駅(JRの同名駅とは全然別の場所)と天神川駅の2駅で、終点駅となる天神川駅の北西約200mには嵐電(京福電鉄嵐山線)の蚕ノ社駅があるため、市では既に早くから、京福と接続協議に入っていました。
蚕ノ社駅の移設または接続地点への新駅設置が検討されているようですが、一部で期待されている嵐電への乗り入れについては、現時点ではまだ考慮されていないようです。
もし嵐電への乗り入れが実現すれば、六地蔵駅、もしくは京阪の京津線終点である浜大津駅から、嵐電の嵐山駅までの直通運転が可能となり、さらに利便性は大きく向上することになります。
そして、その直通列車が京津線の浜大津駅まで乗り入れるようになれば、浜大津駅は石山坂本線との共用駅でもあるので、(これは夢物語に近い範疇の話になりますが)将来的にはさらに石山坂本線の坂本駅や石山寺駅まで、嵐山駅からの直通電車が走るようになるかもしれません。
ちなみに、1989年5月の運輸政策審議会答申では、二条〜西大路を「2005年までに整備するのが適当な路線」、西大路〜洛西を「2005年までに整備に着手することが適当な路線」、さらに洛西〜長岡京を「今後整備について検討すべき路線」としています。
京都の地下鉄ネットワークは、今後さらに拡大することになりそうです。(でも京都の地下鉄は、実は大赤字なんですけどね。)
ところで、私の暮らす札幌にも地下鉄が3路線走っておりますが、札幌の地下鉄は今のところ路線の延伸計画はありません。
東豊線が着工される前の計画では、東豊線は福住まで開通後、福住からさらに東方面(北野)に延伸される予定だったはずなのですが、今のところは全く動きなしです。
南北線も、真駒内から藤野方面、麻生から屯田方面へ延伸させようとする声が地元の一部からは聞こえてはいるものの、これも具体的には全く動きなしです。

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