写真のパンフレットは、昨年10月に「京都市都市計画局都市企画部交通政策課」が発行した、京都市のLRT導入計画のPR紙です。
三条京阪の地下鉄駅構内で「無料配布物」として置いてあったもので、昨年の11月に京都に行ってきたときに貰ってきました。
LRTとは、Light Rail Transit(軽量軌道公共交通機関)のことで、日本においてはその定義はいまいちはっきりとはしていないようですが、一般的には、安全性や環境に十分配慮しつつも従来よりも高速で走る路面電車(車両は低床式)、というように解されています。
このパンフレットでは、LRTの特徴(利点)として、以下の5点を挙げています。
@バリアフリーに優れ人に優しい
A歩いて楽しい街をつくる
B空気を汚さず騒音も少なく環境に優しい
C専用化された軌道を持ち時間に正確で乗り換えも便利
D建設費が比較的安く財政にも優しい
また、LRT導入の効果としては、以下の4点が挙げられています。
@既存の鉄道やバスと連携し公共交通全体が便利になる
A「歩くまち京都」の実現により中心市街地の活性化につながる
B京都市の新しいシンボルとして快適な都市空間を提供する
C渋滞に巻き込まれず時間通りに市内を移動することができる
どれもいいことばかりですが、表現があまりにも抽象的すぎて、正直言って全然イメージが湧きません(笑)。現時点では具体的なことは何も決まっていないので、これは仕方がないともいえますが。
そして、このパンフレットによると、京都市にLRTを導入する場合の路線案としては以下の7案が提示されています。
@河原町線
【四条ルート】
京都駅前→(烏丸通)→烏丸七条→ (七条通)→七条河原町→(河原町通)→四条河原町→(四条大橋)→祗園
【三条ルート】
京都駅前→(烏丸通)→烏丸七条→(七条通)→七条河原町→(河原町通)→河原町三条→(三条大橋)→東山三条
A東大路線
【元田中ルート】
京都駅前→(烏丸通)→烏丸七条→(七条大橋)→東山七条→(東大路通)→元田中駅前
【白川ルート】
京都駅前→(烏丸通)→烏丸七条→(七条大橋)→東山七条→(東大路通)→東山丸太町→(丸太町通)→天王町→(白川通)→白川通今出川(銀閣寺)
B今出川線
【銀閣寺ルート】
北野白梅町駅前→(今出川通)→(賀茂大橋)→白川通今出川(銀閣寺)
【出町柳ルート】
北野白梅町駅前→(今出川通)→(賀茂大橋)→京阪出町柳駅前→叡電出町柳駅前
C中環状線
河原町五条→(河原町通)→河原町御池→(御池通)→堀川御池→(堀川通)→堀川五条→(五条通)→河原町五条
D小環状線
四条大宮→(四条通)→四条烏丸→(烏丸通)→四条河原町→(河原町通)→河原町御池→(御池通)→烏丸御池→(烏丸通)→四条烏丸
E堀川線
京都駅前→(塩小路通)→塩小路堀川→(堀川通)→堀川今出川
F大環状線
東福寺→(東大路通)→高野→(北大路通)→金閣寺前→(西大路通)→西大路九条→(九条通)→東福寺
過去の京都市電の路線図と比較してみると、上記7案のうち、@河原町線の四条ルート、A東大路線の両ルート、B今出川線の銀閣寺ルート、F東大路線は、全線ともに市電時代のルートと完全に一致しており、それ以外のルートにおいても、旧市電の路線と重複している所は少なくありません。
もし京都においてLRTが実現すれば、それは事実上、京都市電の復活といえるでしょう。
ちなみに、札幌の市電も、LRT化や路線を延伸する案が検討されており、路線の延伸に関しては、札幌駅前〜すすきの間の新線建設が検討されています。
このルートが完成すれば、現在「コ」の字型の路線の札幌市電は、都営大江戸線のようなラケット型の環状線になり、利便性が大幅に向上することになります。
しかし、現在札幌駅〜すすきの間の地下には、既に地下鉄と地下街が建設されていることから(そのうち札幌駅〜大通間の地下通路は現在建設中)、同区間に市電の路線を敷設することは無駄な三重投資になるのでは、という批判もあり、新線の建設が実現するかどうかはまだ不透明です。

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