「阪急阪神ホールディングス」(以下阪急阪神HDと略)については
昨年10月2日の記事で、「神戸高速鉄道」については
昨年4月30日の記事で、それぞれ取り上げましたが、その両社が、平成21年春までに統合する事になりました!
神戸高速鉄道株の40%を保有する、同鉄道の筆頭株主である神戸市が、今月16日、市の保有する同鉄道の株式の大半を阪急阪神HD側に譲渡し、同HDに経営を委ねる方針を明らかにしたためです。
神戸市企画調整局では、経営権を譲渡する理由について「阪急と阪神の経営統合により、行政が4私鉄を調整する必要がなくなった」と説明しており、一方、阪急と阪神の両電鉄も、「阪急・阪神などが神戸高速線を含めた形で鉄道の一体的な運営を行えば、これまで以上に効率的な運営が実現でき、利便性・サービスをますます高めることが期待できる」と神戸市の決断を歓迎する意向を示しています。
市が株式譲渡の目標を平成21年春としたのは、その時期には
阪神なんば線が開業し、阪神と近鉄が阪神三宮〜近鉄奈良間で相互直通運転を始めるため、「組織や設備を変更するなら、大きな節目に合わせる方が効果が大きい」と判断したためのようです。
しかし、市が保有している株式の譲渡先を阪急阪神HDにするのか、傘下の阪急にするのか、あるいは阪神にするのかはまだ確定しておらず、また、神戸市が保有する40%の株を全て譲渡するのか、それとも一部は市に残すのかについてもまだ確定はしておらず、これらについては市では今後検討するとしています。
ただし、阪急阪神HD側の持ち株比率が過半数になれば神戸高速鉄道の経営権は確実に同HDに移るため、そのようにするためにも、市としては少なくとも30%程度は同HD側に譲渡するとしています。
ちなみに、現在神戸高速鉄道には、阪急と阪神はそれぞれ約10%ずつを出資していますが、神戸高速線に乗り入れている阪急、阪神、山陽、神鉄4社の出資比率を合計すると40%になるため、4社を合わせた比率は、筆頭株主である神戸市の40%と同等になっています。
阪急と阪神は昨年10月の経営統合で阪急阪神HDの傘下となっており、また、神鉄の筆頭株主も同HDであり、山陽の筆頭株主は阪神である事から、つまり事実上、神戸市と同HDは同等比率の株を保有している状態になっているのです。
それはともかく、神戸高速線の利用者には、乗り入れ各社の運賃に神戸高速線の運賃が上乗せされているため同線は高いという割高感を今まで与えていたため、神戸高速鉄道が同HDの傘下になれば、同線の値下げにも繋がるため(実際、阪急阪神HDでは、経営統合されれば値下げは可能になるかもしれないとコメントしています)、今回の統合は、利用者にとっては歓迎すべき事だと思います。
というよりも、はっきり言ってしまうと、神戸高速鉄道が今後も今と同じ形(市や乗り入れ各社が出資する第三セクターで、しかも第三種鉄道事業者という形態)で存続し続ける事によるメリットは、少なくとも同線の利用者や、同線に乗り入れる私鉄各社にとっては既に全くないといえます。
神戸市が神戸高速鉄道の経営権を譲渡する理由として挙げた「阪急と阪神の経営統合により、行政が4私鉄を調整する必要がなくなった」というコメントからも、この統合が阪急・阪神の経営統合の波及効果であるのは間違いなく、昨年の阪急・阪神の統合から始まった関西の私鉄再編の動きは、まだ暫く続きそうで目が離せません。

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