「特急「スーパー宗谷」と特急「サロベツ」に乗車してきました」
北海道の鉄道
今月の10日から12日にかけて、2泊3日の日程で、北海道北部の宗谷地方を旅行してきました。
今回の旅行の主たる訪問先は、稚内の西方50〜60km程の日本海上に位置する、利尻島と礼文島という2つの離島だったのですが、島へは稚内港からフェリーで向ったので、まずは稚内へと行く必要がありました。
というわけで、今回の旅行では、札幌から稚内への往路は特急「スーパー宗谷」を、稚内から札幌への復路は特急「サロベツ」を、それぞれ利用しました。
私は、稚内へは過去にも数度行っていますが、大人になって以降はいずれもマイカーやバイクで行っていましたので、札幌から鉄道を利用して稚内へ行くのは、中学1年の夏休みの父との旅行以来、二十ウン年ぶりの事でした。
今回私が乗車した「スーパー宗谷」と「サロベツ」は、どちらも札幌〜稚内間を走るJR北海道の特急列車で、その走行距離は約400km(正確には396.2km)にも及び、これは日本で運行されているディーゼル特急の中では最長距離となります。
ちなみに、約400kmというのはどのくらいの距離かというと、東京からの直線距離だと、神戸もしくは盛岡くらいにまで相当し、直線ではなく鉄道路線に換算すると、東京からだと岐阜県の大垣間くらいに相当します。
全く同一区間を走る「スーパー宗谷」と「サロベツ」の違いは、運用車両の違いによるもので、比較的最近製造されたキハ261系気動車が使用される「スーパー宗谷」の札幌〜稚内間の平均所要時間は5時間4分ですが、国鉄型のキハ183系気動車が使用される「サロベツ」の札幌〜稚内間の平均所要時間は約5時間半です。
本当は、少し前までは「スーパー宗谷」はもっと速かったのですが、数年前にJR北海道による一連の不祥事とその隠蔽が大きな社会問題となって以降、その反省から、JR北海道は安全確保のためほぼ全ての特急の運転速度を減速させており、それに加えて、スーパー宗谷については261系気動車の大きな特徴のひとつである車体傾斜装置も使用を停止させた事から、残念ながら特急としての速達性は以前よりも低下しております。
以下の写真2枚は、乗車直前に札幌駅のホームで撮影した「スーパー宗谷」の先頭車です。4両編成での運行でした。
以下の写真3枚は、乗車直前に稚内駅のホームで撮影した「サロベツ」の先頭車と、3号車・4号車の連結部分です。
高運転台の非貫通型先頭車を1両増結し、4両編成となっていました。
ちなみに、私が乗車した「スーパー宗谷」は、旭川まではそれなりに乗客が多かったのですが、旭川以降はどんどん乗客が降りて減っていき、4両編成の列車のうち私達夫婦が乗っていた3号車の車内は、終着駅の稚内に着いた時は、私達二人だけの貸切状態になっていました。
都市間を結ぶ長距離交通機関にとって、お盆直前のこの時期は年間でもかなりの繁忙期に当たるはずなのに、この閑散とした車内は、ちょっとヤバイのでは、という気がしました…。
札幌に帰ってから改めて調べてみた所、札幌〜稚内間を直通で結ぶJRの特急が1日僅か3往復しかないのに対して、同区間を走る都市間バスは6往復運行されており、所要時間も、「スーパー宗谷」や「サロベツ」が5時間強で、バスは6時間弱と大差無いため、恐らくはバスにかなりの乗客を取られているのだろうと推測されます。
そもそも、宗谷本線の北部、つまり名寄〜稚内間は、輸送密度(1日1kmあたりの平均輸送量)が500人未満で、輸送に直接必要な経費もまかなえない状況にあるのが現実です…。
「スーパー宗谷」と「サロベツ」、そして、札幌〜網走間を結ぶ「オホーツク」の3特急は、来春のダイヤ改正で一部の列車(事実上、過半数の列車)が運行区間を縮小し、札幌駅発着から旭川駅発着に変更される事が既に決定しています。
つまり、宗谷・石北線系統の特急は旭川で系統分断される事になるわけで、残念な事に、道内在来線特急のネットワークは今後分断・縮小化していく方向で動いております。
北海道のディーゼル特急最盛期には、特急「おおぞら」は函館〜釧路間を、特急「おおとり」は函館〜網走間を、それぞれ定期列車として毎日走っていましたが、昨今のJR北海道の情勢を見る限り、そのような長距離特急が運行される事は、もう無いでしょう…。
ところで、今回の記事の冒頭で私は、「札幌から鉄道を利用して稚内へ行くのは、中学1年の夏休みの父との旅行以来、二十ウン年ぶりの事でした」と述べましたが、記事の最後に、その時、つまり中学1年の夏休みの旅行で撮った写真を2枚、以下に貼付・紹介させて頂きます。
この時は2泊3日の旅行で、札幌から稚内の往路は寝台急行「利尻」を、稚内から札幌への復路は急行「天北」を利用しました。
「利尻」の運行経路は、現在の「スーパー宗谷」や「サロベツ」と全く同じですが、「天北」は、音威子府〜南稚内間については、今は廃線となって現存しない天北線を経由する列車でした。

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