大雑把に分類すると一応札幌と同じ「道央圏」に属する苫小牧方面を、先週、私・妻・息子の家族3人で、日帰りで旅行してきました。
そして、折角苫小牧まで行って来たので、苫小牧を起点とする日高本線(一般には「日高線」という通称で定着しています)の列車にも、3人で乗ってきました。
息子が、乗り物が大好きであるため、一緒にいろいろな乗り物に乗ったり、いろいろな乗り物を見学したりして楽しんできました♪
先ずは、札幌駅から、札幌発函館行きの特急「スーパー北斗 10号」に乗車しました。
現在「スーパー北斗」には、キハ281系と、キハ261系1000番台の、2種の気動車が運用されており、私達がこの時乗車したスーパー北斗は、キハ281系のほうでした。現在1歳8ヶ月の息子にとっては、特急列車の乗車はこれが人生初体験です。
ちなみに、私がスーパー北斗に乗車したのは、
平成22年に日帰りで青森県の竜飛まで行って来た時以来でした。なお、その時のスーパー北斗は、キハ283系による運用で、札幌から函館までの所要時間は3時間11分でした。
札幌から苫小牧までの乗車時間は45分程と(長距離特急の乗車時間にしては)短めでしたが、私にとっては折角の貴重な機会なので、今回の乗車では、車内にて、車内販売のお弁当も頂いてきました。
これも“時代の流れ”のようで(つまりほとんど売れないという事)、残念な事にスーパー北斗での車内販売は、今月末日を以て終了となります。無くなる前に食べれて良かったです。
下の画像は、車内販売のお弁当を買ったら乗務員さんから頂いた、限定品らしいポストカードです。このイラストに描かれているスーパー北斗は、キハ261系1000番台ですね。
そして私達は、苫小牧駅でスーパー北斗を下車しました。
苫小牧市は人口約17万人を擁する、北海道を代表する工業都市・港湾都市のひとつで、市名と同名のこの駅は、その名の通り苫小牧市を代表する同市中心駅で、室蘭本線に所属する2面4線の地上駅(駅舎は橋上)です。
この駅を起点とする日高本線と、隣の沼ノ端駅を線路名称上の起点とする千歳線の全列車が苫小牧駅まで乗り入れているため、事実上、3路線の接続駅ともなっています。
そのため、全ての旅客列車が停車する駅でもあり、 「北斗星」「カシオペア」「トワイライトエクスプレス」「
はまなす」といった夜行列車が走っていた頃は、それらの列車も全て停車していました。
私達は苫小牧駅で、同駅を起点とする日高本線の列車(1両編成のディーゼルカー)に乗り換え、日高本線の苫小牧〜鵡川間を一往復してきました。
下の写真2枚はいずれも、この時苫小牧駅のホームで撮影した、私達が乗車したキハ40系気動車です。
日高本線は、苫小牧と様似を結ぶ、全区間の大半を海岸(太平洋)に沿って走る、全長146.5kmの全線単線非電化の長大路線です。
但し、平成27年以降度々発生した一連の災害(高波により線路や路盤の一部が流出したり施設の一部が崩落)により、苫小牧〜様似間のうち、その大部分に当たる鵡川〜様似間は、復旧工事に莫大な費用を要する事から実質放置され、しかも長期の放置によって路盤崩落などの被害が更に広がっており、この区間は今も不通が続いています。
そのため、現在の日高本線は、苫小牧〜様似のうち、苫小牧〜鵡川間のみ列車が運行され(今回私達が乗車してきたのはこの区間です)、鵡川〜様似間については、代行バスでの運行となっています。
但し、その鵡川〜様似間は、途中の静内で系統が分割されているため、現在の日高本線は実質、苫小牧〜鵡川、鵡川〜静内、静内〜様似の3区間に運行が分断されており、苫小牧〜様似間の全区間を乗車しようとすると、最低でも2回の乗り換えが必要になります。
日高本線の今後についてですが、沿線の自治体などはJR北海道に対して復旧を求めていますが、平成27年以降の災害の有無に関係無く元々日高本線の利用者は極端に少なく、しかも、日高本線とは国道235号が隣接する線形でずっと並行している事や、そもそも沿線人口が減少の一途である事などから、今後鉄道の利用者が増加するという事態は全く見込めず、更に、近年は高規格道路(通行無料の自動車専用道である日高自動車道)も延伸され日高本線と並行するようになっている現況から、尋常ではない巨額な赤字に悩むJR北海道としては、将来性皆無の不採算路線である日高本線を復旧させるつもりは全く無いようで、昨年JRは、「日高本線の、少なくとも日高門別〜様似間の鉄道による復旧は断念し、廃止およびバス転換とする方針」と正式に発表しています。
また、この問題に対しては北海道の高橋知事も、JRに対して只管“自助努力”なるものを求めるコメントを出すだけで、道として積極的にリーダーシップを発揮する様子は今のところほぼ全く見られません。
以上のような現況から、現在不通の鵡川〜様似間は、まだ正式に確定したわけではないものの、復旧される事は無くそのまま廃線となる可能性が限りなく高いと言えます。
私自身は、残念な事ではありますが、「日高本線については、既に大量輸送機関としての鉄道は使命を終えた」と認識しており、つまり、日高本線の廃止はやむを得ないと考えています。
廃線を反対する人達からは、「鉄道が無くなると街が寂れる」といった意見をよく聞きますが、私からすると、やや辛辣や言い方になりますがそれは街の衰退を鉄道のせいにして現実逃避しているようにも聞こえます。現実には、「鉄道があっても、街は十分寂れてしまった」「鉄道が無くなると街が寂れるのではなく、むしろ、街が寂れたから鉄道が無くなる」のであり、その厳しい現実を直視し、その上で、公共交通機関は鉄道以外の選択肢もあるわけなのですから、「何故、バスや乗合タクシーではダメなのか?」「むしろ、鉄道からバスや乗り合いタクシーに転換したほうが、利用者の利便性が大幅に向上するのではない?」といった事を、現実に即して真摯に検討すべきだと思います。
もし、それでも沿線の自治体がどうしても日高本線を存続させたいのであれば、まず真っ先にやるべき事は、当該路線の列車に普段から率先して「乗る」事です。少なくとも最優先すべき事は、首長や議会議員等の選挙で特定候補の支援を訴えたり、デモ活動をしたりとか、そういった政治活動ではないはずです(政治活動をすべきではないと言っているのではなく、あくまでも優先順位の話です)。
日高本線の大部分は現在、前述のように代行バスでの運行となっていますが、その代行バスにも日頃から頻繁に「乗る」事です。兎に角、沢山「乗る」事です。当たり前の話ですが、乗らないと路線は維持出来ません。
「鉄路を残せ!廃止するな!」と声高に主張している人達の多くが、普段鉄道(代行バスも含む)をほとんど利用しておらず、日常では車(マイカーや、便数の多い高速バスなど)でばかり移動していて、それで路線を残せと言うのは、厳しい言い方をすると単なるワガママにも見えます。
もし、どうしても乗車する事が出来ない事情があるのであれば、これもまた単純な事ですが、「お金を出す」事です。最近流行りのクラウドファンデイングを活用して、自ら積極的に動いてあちこちからお金を集めるというのも有効な方策のひとつかもしれません。
こう言ってしまうと身も蓋もありませんが、結局のところ、日高本線に限らず赤字ローカル線の存廃問題というのは、その問題解決方法を一言で要約すると「乗れ。もしくはお金を出せ。以上」に尽きると思います。
なお、JR北海道の経営危機についての私の思う所は、今からほぼ2年前にこのブログにアップした、以下の記事で述べた通りです。
https://sky.ap.teacup.com/kansai/387.html
下の写真2枚は、日高本線を走る列車の車窓から間近に見えた、苫東厚真火力発電所です。
昨年9月、
北海道胆振東部地震の発生に伴い北海道全域で発生したブラックアウトは、地震でここが機能停止したために起こったものでした。
下の写真2枚は、日高本線の、現在に於ける事実上の終点といえる鵡川駅です。
もっとも、同線の形式上の終点は、今も昔同様、様似駅であり、私がこの時苫小牧から乗車した鵡川行きの列車も、行き先表示は鵡川ではなく様似になっていました。実際には、前述のように鵡川と静内で2回バスに乗り換えないと、様似へは行けないんですけどね。
この鵡川駅は、かつては富内線(鵡川〜日高町間、全長82.5km、昭和61年に廃線)の分岐駅であり、日高本線に於ける主要な中間駅でもありました。
現在は、千鳥状の相対式ホーム2面2線を有する小規模な地上駅で、事実上の終端駅となっていますが(鵡川から先の線路はまだ続いていますが、その先を列車が走る事は、前述の通り、多分もう無いでしょう)、平成18年以降、JRの駅員は常駐しておらず、その後、簡易委託化を経て簡易自動券売機が設置されるなどしましたが、平成26年にはそれも撤去され、現在の鵡川駅は完全な無人駅となっています。
鵡川で折り返し、日高本線沿線の車窓風景を楽しむなどして再び苫小牧市内へと戻ってきた私達は、今度は、同市中心部にある「苫小牧市科学センター」へ行ってきました。
苫小牧市科学センターの敷地内(屋外)に静態保存されている蒸気機関車「C11」や、屋内の展示室に展示されている実物のヘリコプターや車、それにNゲージ鉄道模型のレイアウト、そして、別棟のミール展示館に保存展示されているロシアの宇宙船ミールなどを見学してきました。
息子は特に、C11と、鉄道模型のレイアウトに興奮していました(笑)。
ちなみに、ここで展示されているミールは、模型ではなく実物です。ミールは2機造られ、そのうちの2機が当時のソ連によって宇宙へ打ち上げられ、17ヵ国100名以上の宇宙飛行士が宇宙で滞在する際に使用しました。日本人初の宇宙飛行士として知られるTBSの秋山さんが搭乗したのもそのミールです。
ここに展示されてるこの1機は、その予備機で、宇宙には行っていませんが、もし1機目が打ち上げに失敗していたら、これが宇宙へと打ち上げられる事になっていたそうです。
そして、苫小牧市科学センターを見学した後、私達は、苫小牧駅から「スーパー北斗 11号」に乗って、札幌に帰ってきました。
行き(札幌から苫小牧)に乗車した「スーパー北斗」はキハ281系でしたが、帰り(苫小牧から札幌)に乗車した「スーパー北斗」はキハ261系1000番台でした。ちなみに、私達が乗ったこのキハ261系は、昨年川崎重工で製造されたばかりの新型車のようです。
というわけで、日帰りの短い日程ではありましたが、苫小牧方面の旅行、満喫してきました♪

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