本年3月末日を以って、
京阪旧3000系電車は惜しまれつつも引退をしたわけですが、その後、旧3000系電車がどうなるのか(保存されるのか、どこかに譲渡されるのか、解体されてしまうのか)、ずっと気になっていました。
ちなみに、京阪公式アカウントのツイッターでは、旧3000系の静態保存を求める声に対して、引退直前(本年3月中旬)の時点では以下のように書かれていました(ツイッターは一回の投稿が140文字以内という制限があるため、実際には複数回に分割された上での投稿であり、下記はそれを一つにまとめたものです)。
『
あくまで一般論ですが、鉄道車両の静態保存は大変な費用がかかります。保存場所の確保、その場所への輸送費用、設置してからの管理・補修費用など。かといって静態保存車両で収入があるわけではないので、民間企業単独の取り組みとしてはかなり困難なのです。
鉄道車両はいわば鉄の塊ですから、現役を引退して補修作業が行われなくなったとたんにサビの発生が始まります。ちょっと違う話ですが、レールは1日列車が通らなかっただけで表面にサビが発生します。サビが発生すると塗装面にダメージとなり、急速に劣化していくわけです。
一時期旧国鉄の蒸気機関車が全国各地の公園などに静態保存されました。しかし大半のものは補修がおいつかず醜い外見となってしまったり、不心得者のイタズラの対象になってしまったりしたのは、ご存知の方も多いと思います。
大変残念なことですが、鉄道車両の静態保存はかなりハードルが高いのが現実です。JR東日本さんやJR東海さんの博物館で保存されている車両たちは本当に幸せだと思います。旧3000系特急車も何とかそのような形になればいいのですが…』
公式アカウントでわざわざこういった説明がされていたので、京阪が旧3000系電車を静態保存することは恐らくは無理であろうことが予測され、そうなると、勿体ないことではありますがやはり解体されるしかないのかなぁ、と残念に思っていたのですが、そのような、私を含む多くの京阪ファンに、先月10日、思いがけない朗報が届きました!
平成2年以降、京阪から旧3000系の先頭車両を2両ずつ順次譲り受け、各々を2両固定編成で運行させていた富山地方鉄道が、京阪旧3000系のダブルデッカー車(京阪8831号)を購入し8月から運行を開始すると発表したのです。
富山地鉄は、北陸新幹線開業を見据えた鉄道の観光資源化に取り組んでおり、一昨年12月にデビューさせた「アルプスエキスプレス」(西武から譲渡された旧レッドアロー)に続く観光列車第2弾として2階建て車両を導入することを決めたそうです。
京阪から富山地鉄に譲渡されるのは中間車のダブルデッカー1両のみですが、この1両は、昨年京阪オリジナル色に塗り直された京阪旧3000系の先頭車両2両(富山地鉄での車両番号は10033号と10034号)に挟まれ、新たに3両編成の列車として、普通列車と特急「うなづき」で運用されることになります。
旧3000系のダブルデッカーは、解体を免れ、富山で第二の人生を歩むことになったのです。ちなみに、2階建て車両は国内の地方私鉄(JRや大手私鉄を除く)では初めての導入となります。
こうして、旧3000系のダブルデッカーは富山へと輸送され、富山地鉄の稲荷町工場で同社の線路幅に合わせる台車交換などの改造工事が施され、新たに3両固定編成となったこの列車には「ダブルデッカーエキスプレス」の愛称が与えられました。
そして、ダブルデッカーエキスプレスは、本日、ついに富山地鉄で営業運転を開始しました!
運行初日の今日は、臨時特別列車としての運行で、10時10分に電鉄富山駅で導入式典を行なった後、11時5分に同駅を発車して宇奈月温泉や立山方面に向かい、17時15分に電鉄富山駅に戻るというダイヤで運転されました。
明日以降は通常ダイヤで運行され、特急(うなづき5号とうなづき10号)としての運用時はダブルデッカー車のみ座席指定車となるそうです(座席指定料金は210円)。
ダブルデッカーエキスプレスについて、富山地鉄では「2階席から立山連峰など富山の大自然をパノラマで楽しんでいただき、階下席から一風変わった視界の面白さを楽しんでいただきたい」とのことです。
富山に行った際は、是非乗りに行かねば!(笑)

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