昨年6月13日の記事では、汐見橋線の通称で知られる、南海高野線の汐見橋〜岸里玉出間(4.6km)と、同線の起点となっている汐見橋駅を紹介させていただきましたが、今回は、汐見橋線のもう一方の終端駅である岸里玉出(きしのさとたまで)駅を紹介させて頂きます。
大阪市西成区玉出東1丁目にある、南海電鉄のこの駅は、上の図のように、難波から南方向(
和歌山市・高野山方面)に向かって走る電車が、和歌山市方面と高野山(
極楽橋)方面へとそれぞれ分岐する駅で(正確には、この駅から分岐するのではなくこの駅の直前で分岐しますが)、また汐見橋線との連絡駅でもあります。南海本線の方向別複々線が始まる駅でもあります(この駅以南が複々線になります)。
ホーム配置は、東から高野線(対向式2面2線)、南海本線(島式1面2線)、汐見橋線(単式1面1線)の順で、合計4面5線のホームを持つ高架駅です。
ホーム番号は、高野線が1番・2番、南海本線が3番・4番で、汐見橋線が6番です。南海本線ホームと汐見橋線ホームとの間にある通過線が5番線として扱われているため、5番ホームは欠番になっています。
この駅は、元々は岸ノ里駅(大正2年開業)と玉出駅(明治40年開業)という、2つの異なる駅だったのですが、萩ノ茶屋〜玉出間の高架化に伴い平成5年に両駅が移設統合され、それにより、駅名が現在の「岸里玉出」に変更されました。
高架化以前は、南海本線と高野線が交差する位置に岸ノ里駅、現在の岸里玉出駅玉出口付近に玉出駅がありましたが、両駅の駅間距離が僅か400mしかなかったこともあり、高架化に合わせて統合されたのです。
しかし、先の図を見ていただければお分かりのように、駅の北側(難波寄り)で高野線と南海本線が大きく分岐している構造のため、高野線ホームと、南海本線及び汐見橋線のホームは離れていて、勿論連絡通路はあるのですが少し距離があり、また、南海本線、高野線を走るそれぞれの優等列車もこの駅を通過する設定のため、この駅での南海本線と高野線の乗り換えは、はっきり言って不便です。
そのため南海も、両線の乗り換えはこの駅ではなく、一つ手前の天下茶屋駅で行うことを推奨しています。阪神本線と
阪神なんば線の分岐駅は大物ですが、その一つ前の尼崎駅が事実上の両線の乗り換え駅として機能しているのと同じような感じです。
上の写真は、6番線(汐見橋線)に停車中の電車内から撮影した、難波方面の風景です。
左に大きくカーブしている単線が、汐見橋駅へと通じる汐見橋線です。
上の写真は、4番ホームから撮影した、5番線(通過線)と、6番ホームに停車中の汐見橋線の電車です。
6番ホームは2両編成の電車しかとまらないため、対面している南海本線の島式ホームに比べると、ホームの長さは短いです。6番線は、南側が行き止まりになっていて、北側には南海本線への渡り線(一つ前の写真にはっきりと写っています)があります。
上の写真は、3番ホームの北端から北東方向を撮影した風景で、この写真に写っている線路は南海本線ですが、右側に見える高架は高野線です。
岸里玉出駅は、平成に入ってから誕生した駅の割には(さすがに汐見橋駅ほどないですが)どことなく古さを感じる駅で、南海で双璧を成している二大路線の分岐駅の割には、雰囲気としてはやや寂しい駅です。
駅の周辺に大阪ミナミの下町が広がっており、この辺り一帯は、何となく“昭和時代”を感じさせます。

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