京阪からの発表によると(今月24日発表)、現在10編成・計80両在籍している京阪の8000系特急用車両(但し旧3000系から改番された8030番代は除く)に、改造が施されことになりました。
この改造に伴う投資総額は13億2千万円で、主な改造点は以下の通りです。
@ シート等インテリアのグレードアップ
A 車いすスペースの設置等バリアフリー対策
B 車端部の座席をロングシート化するとともに、従来なかった吊革を設置
C 新型3000系車両同様、LCD(液晶ディスプレイ)車内案内表示器を扉上に設置
D テレビカーのテレビを撤去(平成23年度内に全廃)
このうち@ACについては特に誰も異論はないと思われますが、BとDについては、京阪ユーザーの間では早速賛否両論の声が沸きあがっています。
もともと8000系は2ドアのためラッシュ時は乗降しにくいことが多く、また、全席クロスシートのため座る場合は乗り心地が良いものの、立つスペースが少なく吊革もなかったため逆に座れなかった人にとっては実に乗り心地が悪く、車内で転倒しそうになる人も少なくはありませんでした。
ですから、乗降口付近がロングシート化され吊革も設置されることは、ラッシュ時の利用者にとってはむしろ利便性が向上し歓迎すべき改造ともいえるのですが、しかし、平成9年以降はダブルデッカー車まで増結し「特別料金不要の車両としては国内最上級グレードの車両」と全国的にも高く評価されていた特急専用車の8000系が、一部とはいえロングシート化されてしまうのは“京阪特急のグレードダウン”という印象も拭えず、そのため一般の利用者よりも、京阪特急に強い愛着を持っている人達から特に残念がる声が出ています。
テレビの撤去についても同様です。
現実問題として考えると、テレビが珍しかった時代ならいざ知らず、携帯電話にワンセグ機能が付いていつでもどこでもテレビが見られるようになった今、車両にテレビが付いていることに付加価値などはなく、備え付けのテレビを見るためだけにテレビカーに乗る乗客はほとんどおらず(しかもチャンネルも自分では変えられないですし)、時代の変化によりテレビカーの役割は既に終わっていたともいえます。
しかし、京阪特急は昭和29年から半世紀以上に亘り歴代特急車両にテレビを搭載し続け、テレビカーの存在は長い間、京阪特急の“豪華さ”の象徴でもありました。
ですから、これは客観的な意見ではなく明らかに感情論になってしまうのですが、テレビカーの廃止は、京阪特急の大きな特徴・歴史が一つ失われることになり、私としても、個人的にはやはり残念な思いがあります。
時代の変化とはいえ(座席のロングシート化も含めて)京阪特急の格調が段々と下がっていくようで、少々寂しいです。
もっとも、「昔の京阪は良かった」と回顧する一部の京阪原理主義者(?)達からは、「特急が中書島や丹波橋に停まるようになり、京橋〜七条間ノンストップ運転の原則が崩れた頃から、既に京阪特急の地位は地に落ちていたのだ」という厳しい意見もあるようです…。

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