日本最初の新交通システムは、
平成18年5月24日の記事や
平成20年6月27日の記事で紹介させていただいた神戸新交通のポートアイランド線(ポートライナー)ですが、そのポートアイランド線の開通から1ヶ月後に開業した、国内では2番目に古い歴史を誇る新交通システムが、今日の記事で紹介させていただく大阪市交通局の新交通システム「ニュートラム」の南港ポートタウン線です。
ニュートラムは、大阪湾の埋立地である大阪南港(住宅団地ポートタウンやフェリーターミナルなど)への交通手段として中量輸送システムの検討をしていた大阪市が、新たな交通システムに注目し導入を決めたもので、先に開業していた神戸のポートアイランド線と各種構造はよく似ていますが、分岐方式などはポートアイランド線よりも簡単な構造のものを採用しており、その後に登場する新交通システムのお手本となった路線としても知られています。
上に貼付の写真2枚が、今から6年程前に南港ポートタウン線(但し、後述しますが当時は南港ポートタウン線ではなくニュートラムテクノポート線でした)のトレードセンター前駅の近辺から撮影した、同線の車両100A系です。
この100A系は、開業当初から走っていた100系(現在は全車が廃車)のマイナーチェンジ版で、100系の車体は鋼鉄製でしたが、同線は海風がよく当たり車体の腐食が心配されていた事から、100A系の車体はステンレス製となっています。
同線の起点は、大阪市交通局・地下鉄四つ橋線の南側の終端駅である住之江公園駅で、昭和56年に、まずはここから6.6km先の中ふ頭駅まで開通し、当初は乗務員が添乗していましたが平成3年からは無人自動運転を開始し、そして平成9年に、中ふ頭駅から1.3km先のコスモスクエア駅まで路線が延伸され、全長7.9km(全10駅、所要時間約17分)の現在の路線が完成しました。
現在、朝のラッシュ時は2分30秒間隔、昼間帯は6分間隔で運転されており、緊急時や乗務員の運転訓練時以外は、原則として全列車がATO(自動列車運転装置)とATC(自動列車制御装置)による無人自動運転で運行されています。
ホームは全駅が島式ホーム1面2線の構造で、列車は、開業以来2両1ユニットの4両編成で運転されていますが、各駅のホームは、6両編成での運行が可能な長さ(50m)が確保されています。
なお、平成9年に延伸された中ふ頭〜コスモスクエア間は、大阪市交通局の南港ポートタウン線としてではなく、大阪市などが出資する第3セクターのOTS(大阪港トランスポートシステム)の路線「ニュートラムテクノポート線」として開業し(同線にはトレードセンター前駅という中間駅も開設されました)、そのため同区間の開業時は、中ふ頭駅を境として大阪市交通局とOTSの車両がそれぞれ相互乗り入れをするという形を採って住之江公園〜コスモスクエア間の直通運転が行われていました。
しかし、大阪市交通局とOTSでは運賃体系異なっていた事から、中ふ頭駅を跨いで乗車すると通算運賃が割高となってしまい、利用者数が開業当初の見込みより大きく低迷する事態を招いていました。
このため平成17年、OTSは第一種鉄道事業者(鉄道施設を所有し車両の運転も自前で行う)から第三種鉄道事業者(鉄道施設は所有するが車両は所有せず、運転は他社に任せる)となって路線を大阪市に貸与し、ニュートラムテクノポート線は南港ポートタウン線に編入されました。
そのため現在は、ニュートラムの全区間(住之江公園駅〜コスモスクエア間)が南港ポートタウン線と呼称・表示されています。
ちなみに、コスモスクエア駅では、大阪市交通局・中央線の西側の終端駅である、同名のコスモスクエア駅とも接続していることから、現在の南港ポートタウン線の両終端駅は、それぞれ別の地下鉄の終端駅と接続しています。
このため、大阪の鉄道路線図(正確な尺度・距離ではなく簡略化されたもの)を見ると、一応路線毎に違う色で表示はされているものの南港ポートタウン線・四つ橋線・中央線はまるで一つの環状線を描いているかのように見えなくもありませんが、鉄輪軌道の地下鉄とゴムタイヤ走行のニュートラムは全く異なる構造のシステムなので、勿論これら3線の相互乗り入れ運転などは行われていません。
とはいえ、南港ポートタウン線の両終端駅はそれぞれ地下鉄路線と改札内での乗り換えが可能で、ニュートラムテクノポート線がOTSから大阪市交通局に移管されて以降は運賃も地下鉄と一体計算されるようになったため、現在の南港ポートタウン線は、実質的には大阪市営地下鉄の1路線のような扱いとなっています。

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