今日は、平成20年の開業を目指して現在大阪市内で建設されている京阪本線の延伸線「中之島線」について述べさせていただきます。
私は京阪本線を利用する機会が多かったため(京都に住んでいた頃はほぼ毎日利用していました)、中之島線の建設事業については個人的にもずっと関心を抱いていました。
現在建設中の中之島線とは、大阪市北区中之島における鉄道ネットワークの充実と、中之島西部地区再開発の進展に伴い発生する交通需要に対応するため、京阪本線の天満橋駅(京阪の本社はこの駅の上にあります)から中之島西部の玉江橋付近に至る延長2.9kmの全線地下の路線です。
この新線は、京阪本線天満橋駅から北西方面に分岐して中之島の北岸を経由し、本線とほぼ平行に走りながら玉江橋に至ます。天満橋駅方面から順に、新北浜駅、大江橋駅、渡辺橋駅、玉江橋駅の4駅(いずれも仮称)が新駅として開設されることになっています。
地下鉄なにわ筋線(ただし現時点では全線未開業)はJRと南海に乗り入れて関空アクセス電車が走る予定なのですが、玉江橋駅ではそのなにわ筋線と接続されるので、玉江橋駅の開業により京阪沿線からも関空へのアクセスが良くなることになります。
中之島線の建設事業は、平成元年5月、運輸政策審議会の答申第10号「大阪圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画について」において平成17年までに整備に着手することが適当である路線として答申され、平成13年3月に事業化が決定しました。
工事の着手は平成15年5月28日で、この日、玉江橋駅(仮称)計画地付近で、大阪天満宮の奉仕により中之島新線建設工事の安全祈願祭と起工式が執り行われました。祭典には約百名が参列したそうです。
路線(天満橋〜玉江橋2.9km)の完成は平成20年の予定で、開業後どのような列車が走ることになるのか、今から楽しみです。
ただ、中之島線開業後も、新線と平行している現在の本線(天満橋〜淀屋橋)はそのまま残るようなので、京都・大阪間を結ぶ特急は、現行の「出町柳〜淀屋橋」と新設される「出町柳〜玉江橋」の2種に振り分けられて走ることになるようです。
中之島線の建設と保有は、京阪、大阪府、大阪市などが出資する第三セクターの「中之島高速鉄道株式会社」が、第3種鉄道事業者(以前の記事で述べた神戸高速鉄道と同形態の、車両を保有せずに路線のみを保有する鉄道会社)として行い、京阪は本来第1種鉄道事業者(路線も車両も保有する鉄道会社)ですが、この区間に限っては第2種鉄道事業者(車両のみを保有し路線を保有しない鉄道会社)として中之島高速鉄道に線路使用料を支払って列車を運行する形を採ります。
この形は、所謂「償還型上下分離方式」といわれるもので、鉄道施設を建設・保有する主体と運行する主体を分離することで、新しい鉄道の建設・運行を容易にする方式です。
首都圏においてはまだ一般的ではないようですが、関西圏においては、近年開業した新路線、もしくは開業する予定の新路線は、ほとんどがこの上下分離方式で建設されています。
ちなみに今回の写真は、現在の京阪本線の大阪方面の終点・淀屋橋駅です。
中之島線は天満橋駅から分岐するため、この駅からは今後も路線が延びることはありませんが、中之島線が開業すると現在この駅が担っている京阪本線の大阪におけるターミナル(終着駅)としての機能は、新設される玉江橋駅に分散されることになります。

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