京都に住んでいた頃、私は男山ケーブル(京阪鋼索線)を頻繁に利用していました。
男山山上駅のすぐ近くには、全国の三大八幡の一社とされる石清水八幡宮が鎮座しておりますが、私は別に八幡宮参拝や観光のためにケーブルカーを利用していたわけではなく、当時は男山の山上に住んでいたため、“生活の足”としてよく利用していたのです。
男山ケーブルは、男山山上駅〜八幡市駅の400mの短い路線で、高低差も僅か82mと全国のケーブルのなかでは最も低く、所要時間も僅か3分程です。そのためケーブルを使わずとも、表参道を使えば徒歩約15分、裏参道を使えば徒歩約10分程で下山することもできます。
しかし、ケーブルカーの路線自体は短いものの、その沿線の地形は起伏に富んでおり、路線上にはトンネルや鉄橋もあります。
ケーブルカーの鉄橋としては日本一の高さを誇る男山橋梁(高さ43m、全長111m)からの眺めは特に素晴らしく、八幡市北部から京都市方面にかけての眺望が広がります。
ケーブルカーの車内は大抵空いており、七五三や正月の時期、あるいは団体での参拝があるときなどは混雑しますが、それ以外の時期で座席に座れないというようなことはまずほとんどありません。人事ながら、よく路線を維持できるなと本気で心配になるほど、利用者は少ないです。自分一人しか乗っていない、ということもよくありました。
正月の初詣の時期だけはとても混雑するので(乗車するまで1時間も待つことがあるそうです)、恐らく正月で元を取っているのでしょう(いや、本当に取れているのかどうかは心配です)。

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