私が関西に在住していたとき、当時の生活圏は京都であったため、京都以外の場所に行くことはそれほど多くはなかったのですが、それでもときどき、大阪や神戸などに足を運ぶことはありました。
特に大阪には何度も遊びに行きましたが、大阪市内の私鉄の起点駅(ターミナル)は主に「梅田」と「なんば」の両地区に分かれており、これらの私鉄のターミナルはよく利用していました。
梅田は、JR大阪駅周辺の地域で、俗に「キタ」といわれている地域の中心地です。
JRの大阪駅や北新地駅、阪急や阪神の梅田駅近辺がキタの中心部で、明確な線引きがある訳ではないので微妙なところですが、一応、京阪の淀屋橋駅周辺もキタの範疇に含まれると思います。しかし、新大阪駅の方までは、たぶんキタには入らないと思います。
大阪駅や梅田駅近辺には大きな店が多く、駅の地下には巨大な地下街もあり賑やかですが、しかしキタは、大阪一の歓楽街を抱えるミナミに比べると、商業の中心地というよりはむしろ企業のオフィスなどの多いビジネス街的な要素の強い地域です。
キタは、札幌でいうと(地区の性格としては)札幌駅から大通にかけての区域に当たります。
また梅田は、阪神や阪急の大阪における起点駅でもあるので、神戸方面へ行く際のターミナルとしても機能しています。キタは今も昔も、ミナミとともに大阪における重要な交通の要所なのです。
ちなみに、阪急の梅田駅(上の写真)は私鉄のターミナルとしては最大の規模を誇る駅で、乗降客数も私鉄の駅単独としては日本第2位です(第1位は東急の渋谷駅ですが、東横線と田園都市線のホームが分離しているので、実際には一つの駅とはいえません)。
一方、なんば(難波)は、俗に「ミナミ」といわれている地域の中心地で、大阪では最も「濃い」地域の一つです。
お笑い(吉本)、道頓堀、食い倒れ、戎橋(阪神が優勝したときにファンがよく川に飛び込む橋)、法善寺横丁など、全国の人々が大阪をイメージする代表的・有名なものは、だいたいミナミにあります(ただし大阪城はミナミではありませんが)。かつては、南海ホークスの本拠地 大阪球場もありました。
ミナミとされる地域には、なんば以外にも、心斎橋、千日前、日本橋などが含まれます。今宮戎あたりも一般的にはミナミに含まれるでしょうが、キタ同様、ミナミの区域の定義も人によって違うため(実際にキタやミナミという名の住所がある訳ではないので)、新今宮や新世界(通天閣で有名なところ)までミナミに含まれるかどうかは微妙なところです(新世界はミナミというよりは天王寺地区の方に含まれるのかもしれません)。
ミナミは、もし札幌に当てはめて考えるとすると(その都市における商業の中心地と歓楽街という位置付けにおいて)多分、大通からすすきの一帯にかけての区域がそれに当たるでしょう。
ところで、ミナミの日本橋は、東京の秋葉原に次ぐ日本有数の大規模な電器店街があることでも知られています。日本橋は、パソコン好きなら一日中いても飽きない場所かもしれません。
ただ、最近の日本橋の電器店街は、関東から進出してきた大型の家電量販店に押され気味で、以前に比べると少し元気がないようです。また秋葉原同様、実は日本橋の電器店街も、最近はオタク文化に侵食されつつあります。
ちなみに、東京にも「日本橋」という同じ表記の地名がありますが、東京の日本橋は「にほんばし」と読むのに対し、大阪の日本橋は「にっぽんばし」と読みます。
そして、キタが交通の要所であるのと同様、ミナミも大阪における重要な交通の要所です。
なんばには、近鉄や南海の起点駅(難波駅)があり、南海の難波駅(下の写真)は、和歌山、関西空港、高野山の各方面へ行く際のターミナルとして、また近鉄の難波駅は、奈良や名古屋方面へ行く際のターミナルとして機能しています。
近い将来には、阪神も西九条から路線を延伸して近鉄の難波駅に乗り入れてくるので、そうなると、梅田を経ずに難波駅からも直接神戸へと行けるようになります。
そして阪神が近鉄に乗り入れるようになると、近鉄の名古屋駅から山陽電鉄の姫路駅までが一つの線路として繋がることになり、(実際にそういう列車を走らせる必要があるのかどうかは別にして)この区間に直通特急を走らせることも可能になります。もし名古屋と姫路を結ぶ直通特急が実現すれば、私鉄最長距離を走る列車になるでしょう。
ちなみに、JRの難波駅は、再開発前までは「湊町」という名の駅で、ミナミの繁華街からは微妙にズレています(徒歩圏内ではありますが)。
私は関西在住時、京阪の沿線(八幡市内)に住んでいたため、梅田やなんば方面に行くときは、まず八幡市駅から大阪方面の終点・淀屋橋駅に行き(八幡市駅は距離的には京都と大阪の丁度中間にあり、京都・大阪それぞれの中心部へは急行を使えばともに約30分で着きます)、終点・淀屋橋で地下鉄御堂筋線に乗り換えて、梅田もしくはなんば方面に向かっていました。
なお淀屋橋へ向かう京阪の車両は、先頭車両(大阪方面)に乗っていると、御堂筋線に乗り換える時に歩く距離が少なくてすみ、比較的スムーズに乗り換えられます。とはいっても、御堂筋線は東京の山手線並みに列車がほとんど間隔を置かずに走っている路線なので、乗り遅れたとしても待つことなくすぐにまた乗れますが。
このときに乗る御堂筋線の列車は、梅田に行く場合は「千里中央」方面、なんばに行く場合は「なかもず」方面です。そして梅田に行くときは「梅田」駅で、なんばへ行くときは「なんば」駅で降ります。
ただし、淀屋橋と梅田は一駅分しかないので、歩こうと思えば実は普通に歩ける距離です(実際に私は何度も歩きました)。

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