真田本城跡
6月2日、湯の丸高原の蓮華つつじを観に行ったが、まだ硬い蕾であった。
やや下がった鹿沢温泉では綺麗に咲いていたが、群生の美しさには程遠い。
折角だから、真田の城廻をする事にした。鳥井峠から真田町に入り、先ずは真田本城に着く。只今NHKの大河ドラマにも登場している事もあってか、訪れる人は多いようだ。
一人、城跡を観ている風でもなく、暇そうな男性が居た。私は軽い挨拶程度で郭跡に足を踏み入れた。流石に名高い真田の古城だ。堅固な要塞である。水場一つ取っても急峻な崖山の山肌を縫うように澤から引いていた。360度見渡せる眺望の素晴らしい要害である。しばし往時を偲びつつ、心地よい薫風を味わう。波乱万丈な真田家の歴史を物語るかのような、逞しくも複雑怪奇な枝振りの赤松の老木が、痛痛しく脳裏に焼きついた。私たちと入れ替わるように、一組の壮年夫婦が訪れて来た。先ほどの一人で居た人は、黙々と通路の小草を抜いていた。「この城は有名なんですよね!」と壮年夫婦のご夫人が、草取りの男性に声を掛けた!「う〜ん!有名だけど、、、TVで変わった事をすれば受けるもんだから、、、!」と、うざそうに言った。地元のボランテア管理人さんであった。地元の人達にとって、誇り高き真田家であるものが、ドラマが制作される度に、歪曲された人物像に作り上げられる事は、耐え難い事であろうと察するに余りある。ドラマの作り手は、如何にして、規制概念や役者から作り出されたイメージを払拭させるか、やっきになって居る感じがして、不愉快だ。明白な史実に基づいた人物像は
薄っぺらなものには決してなるまいと思うのである。勇猛果敢に戦い抜いた武士への思いは、時代の定めとは言え、覇を競う事の過酷な生涯の悲しさをも偲ぶ旅路でもある。
真田本城跡眼下にある館跡
上田城
信州はやはり文化と教育の県である。
廃藩置県の時、全国何処でも城は立ち木一本に至るまで、ことごとく売却された。
その姿を見かねた篤志家が、櫓一棟残すのみとなった城を一括買い上げて、裸になった城内に木を植えて整備。市民の憩いの場として無料で開放したという。その甲斐あって
広い城跡は、在りし時代の面影を今に留める事が出来たという。城内には高校生達の快活な声が盛んに聴こえる。「こんにちわー!!」=野球選手達が自転車に乗り、通り過ぎ際に声を掛けて野球グランドに向かって去った。爽やかな気分の旅路であった。

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