日本の精神病院の異常を取り上げた本の紹介をこのブログでも取り上げています
2012/10/18「老人が経済システムを活性化」で 「なぜ日本は、精神科病院の数が世界一なのか」織田淳太郎 宝島社 を
2014/1/3「大麻やLSDやパコの洞窟」で 『潜入 閉鎖病棟―「安心・安全」監視社会の精神病院』柳田勝英 現代書館 (2012/01) を紹介した
今読んでいる本は 1970年の新聞連載「ルポ・精神病棟」大熊一夫 朝日新聞社 の著者が 強い思いで書いたのものです
「精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本」大熊一夫 岩波書店 (2009/10/7)

この国の精神保健の明日を描くために。精神保健最先進国イタリアからの渾身のルポと、日本への提言。第1回フランコ・バザーリア賞受賞(2008年)記念作品。
日本の医療の悪の根源が 自由主義ビジネスの武見会長にあったばかりか 今も変わらぬ恥ずかしい日本人の汚れた心にあることを思い知らされる
イタリアは2000年までに 全ての精神病院を閉じて 全土に公的地域精神保健サービス網を敷いた
日本は ビジネスとしての私立病院の家畜患者の如き私設強制収容所の悪徳を擁護してきた
その政治の怠慢に憤るばかりでなく その流れが今も続き 認知症などの福祉事業と混同した悲惨な実態に向かっている現実を嘆いている
マイクが 健康保険で最期を迎える安楽死センターを実現するには ワタミなどに任せるべきなどと安易に考えているとしたら大きな間違いになる可能性を 本書は示唆するものです
西欧には家庭や地域を大事にする文化があります
それを失ってしまった個人・自由主義日本にはビジネスに任すしかないのが現実です
国が在宅医療・介護を唱えるのは金もなく面倒もしたくないからで 私立病院・介護任せにするだけでは イタリアのようなシステムは生まれません
安楽死センターが 私設でなく公的なものからスタートするには 庶民の間に相当な福祉哲学が育たなければなりません
エコノミックアニマルが 西洋人のように哲学することから学ばなければなりません
マイクは終末期の死だけを考えていますが もっと広く日本人の失った倫理哲学の復興を考えずして済まされないのだということを これからも肝に銘じようと思います

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