
「晩年様式集 イン・レイト・スタイル」大江 健三郎 講談社 (2013/10/25)
3.11後、それまで書いていた小説の原稿をすべて破棄した大江健三郎氏。新たに緊迫した日本を小説の舞台に選んで語り始める。老境の円熟を拒否してカタストロフ(大惨事)に挑む傑作! これまでの作家としての成果すべてを注ぎ込んで、個としての作品を超えるメタ(超越的)小説。一見“私小説”、しかし実は・・・・・・。この作品を通して大江健三郎の全人生が見えてくる。最後に引用された恐るべき予見の詩とは?
それは「私は生き直すことはできない。しかし私らは生き直すことができる」であり 含蓄ある言葉です
「作家は死者たちの記憶を これから生まれてくる者たちへの贈り物へと転換しなければならない」とも言う
80歳を目前に控えた作家は 自らの死を語り示すだけでなく 最後には実践で エリートでない私たちにも相応しい死に方と そうするために生き直すことを教えてくれる筈です
不遜とは思いながら 丸谷才一とは違うことを期待して 大江さんの死に際の有り様を見守りたいものです

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