文芸評論家=山崎行太郎の『
毒蛇山荘日記』というブログがありまして、管理人の山崎氏が自分で書いたと思われるブログの紹介分がこれです。
「検察ファシズムが日本を滅ぼす…」 「西村真悟代議士逮捕は冤罪であり、国策捜査だ…」と高言する反陰謀論的電波日記(笑
その「電波日記(笑」で陰謀説批判の反論?みたいなものが掲載されました。売り文句は「電波日記」ですから、まともに相手にしていいものかどうか悩みましたが、ちょっと釣られてみようかなと(笑 たまにはこういう日があってもいいでしょう。
■論点は一つ
要するに「サヨク陣営を中心に陰謀説が流れています。」という筆者の記述を捉えて、「
陰謀論を流しているのはサヨクだけじゃないだろ」、というものでした。双方の主張をまとめるとこうなります。
(1)サヨク陣営を"中心"に陰謀説が流れている(グース)
(2)陰謀説はサヨク陣営に限定されていない(毒蛇山)
日本語ではこの二つの事実は両立します。なぜならば「サヨクを中心に」と言った場合、サヨク以外のカテゴリーも含まれるからです。
例えば「バスケットボールは”アメリカを中心に”人気がある」
と言った場合ですが、日本語では「人気の中心はアメリカだけれども、他の国でも(アメリカほどではないが)バスケは人気がある」という意味になります。上の例文を「バスケはアメリカでしか人気がない」という風に読む方は読解力に問題があるでしょうね。
とまぁ、毒蛇山さんとの言葉遊びはここまで。
陰謀説がなぜ問題外なのかについて、
前回のエントリーを補足します。
■陰謀説が問題外な理由
テレビや新聞だけを情報源としている方は知らなかったかも知れませんが、ニッポン放送買収騒動の際に、インターネット上ではすでに「ライブドアの決算に関する疑問」は知られていました。例えば
昨年4月のブログです。
「ホリエモンの錬金術 −4」 2005-04-05
http://consul.mz-style.com/item/275
---------------------------------------
一見急成長している優良会社のような決算書になってはいるのですが、連結、単体とも、じっくりと分析してみますと怪しげなところが随所に見受けられるのです。上場会社の決算書で、有報の上から数々の“いかがわしさ”がこれほど透けて見えるものは、めったにありません。
以下、私がライブドアの決算書を敢えて“いかがわしい”ものであると判断した根拠の一端を示します。
たとえば、連結調整勘定、営業権、新株発行権、貸倒引当金などの会計処理の仕方とか表示方法が、期毎にかなりフラフラしているようですし、毎期のようになされている子会社との利益のキャッチボールとか怪しげな在庫の計上など、ドタバタとなんとも賑やかな決算になっています。
--------------引用ここまで---------------
これはですね
強制捜査の8ヶ月あまり前に書かれたブログです。2ちゃんねるではURLを結構みかけたような記憶があります。
「子会社との利益のキャッチボール」という表現は、まさにライブドアの「粉飾決算の手口」を表しているものと言えるでしょう。
客観的に見ればライブドアは「怪しい会社」であって、いつ捜査対象となってもおかしくない。すくなくともインターネット上ではそういう意見が少なからずあったわけです。
要するに、知識のある方がみればライブドアは「怪しい会社」であることはなんとなくわかるわけですから、当然ながら「東京地検」も興味を示したものと思います。内偵捜査はかなり早い時期から行われていたと考えられます。
ライブドアは捜査が入って当たり前の企業だった。
マスコミも当然、疑惑は知っていたものと思います。
大半の「ネット右翼」もライブドアの疑惑を知っていたのでしょう。
ライブドアがいつ捜査対象となってもおかしくないという「事実」を知っていたかどうかで、陰謀論に傾くかどうかが決まったのかもしれませんね。
■特捜部の内偵
東京地検の特捜部と言えば筆者が知る限りでは「空振り」はありません。
綿密な内偵捜査の上で強制捜査に着手します。ライブドアにもかなり長期間の内偵捜査が行われていたものと推察されますが、
強制捜査の規模から考えても内定期間が一ヶ月や二ヶ月とは考えがたい。
耐震強度の偽装が問題化したのが昨年の11月17日頃です。この時期、すでにライブドアへの内偵捜査は行われていた可能性が高いでしょう。ちなみに自民党が小嶋社長の証人喚問の方針を打ち出したのは12月22日です。日程の調整が行われたのが27日。
常識的に考えると、12月27日以降ライブドアの内偵を始めて、1月17日の小嶋社長の証人喚問強制捜査をぶつけたということはまずありえないでしょう。
(1)マスメディアが「陰謀論」を相手にしていない理由の一つが「
耐震強度問題発覚の前に、すでに内定は始まっていた」と考えられるからなのです。
■強制捜査の時期
内偵で容疑が固まればれば強制捜査になるわけです。捜査規模が大きくなれば押収した証拠の分析に関わる検察の受け入れ体制もあり、捜査に当たる人員確保の都合もあります。ちなみにライブドア事件では
パソコンだけで百数十台が押収されています。書類などを含めるとかなりの量になるでしょう。保管場所、輸送手段なども予め手配する必要があります。
東京地検がいつ強制捜査に着手する時期を決めたのかを証明する手段はありませんが、大規模な捜査ですから調整にある程度時間が必要であることを考えると、
証人喚問の日程が決まる12月27日以前に、すでに強制捜査に着手する日時が設定されていた可能性が高いと言えます。
(2)マスメディアが陰謀論を相手にしない理由の二つ目が「
着手の日時は、証人喚問の前に決まっていた」と考えられるからなのです。
■報道ソース
仮に証人喚問の日時とかぶらないように配慮したとしても、耐震強度偽造問題もライブドア問題も
一日で終わる問題ではなく、むしろこれから詳細な分析が始まる問題となります。証人喚問の日時をさけてライブドアに強制捜査を入れても、
情報分析の発表時期は重なりますから、「電波を食い合う」という面で考えれば証人喚問の日時とかぶろうが、日時をずらそうがあまり意味が無い。
(3)マスメディアが陰謀論を相手にしない三番目の理由が「
証人喚問の日時をずらしても、電波の食い合いは避けられない」。要するに「
メディア対策として意味がない」。ということからなんです。
■結論
以上のように、ライブドアの強制捜査と小嶋社長の証人喚問が重なったことを「政府の陰謀」とする説はかなり無理がありますし、
反小泉のマスメディアにも相手にされないレベルの電波説ということになります。
社民党の辻本議員が逮捕された時には「陰謀説」がマスメディアを賑わせましたが、今回はほとんどありませんよね。筆者が知る限り陰謀説をとりあげたマスメディアはありません(もっともすべてのニュース番組や新聞を熟読しているわけでないことは予めお断りしておきます)。
最終的に毒蛇山の山崎氏がサヨクかどうかはわかりませんが、少なくとも
この問題に関しては「サヨクと同レベルの分析能力」ということになるでしょう。陰謀説は根拠のない「感情論」なんです。
どんな人間でもすべての分野で一流の見識をもつことは難しいわけで、山崎氏も専門分野では高い見識が期待できるのかもしれませんね。
恥をかくのを承知で自身のブログを「電波日記(笑」と称しているものと思いますが、一応「ネット右翼」の理論構成を説明させていただきました。
陰謀説という電波説を粉砕するクリック→

0