前回のエントリーで公開した「電話取材(電凸)」の内容を踏まえて、鳥取人権条例の問題点を考察したいと思います。
■人権条例制定の背景
鳥取県がこの条例で想定しているレベルの人権相談であれば、対応するのは県や市の職員で十分なんですね。人権委員会は規模的にも数名(今のところ五名)ですから、別組織として新たに人権侵害救済推進委員会なるものを立ち上げる理由はありません。にも関わらず
委員会を立ち上げる目的と言えば、一つには「委員会に税金(資金)を流すこと。二つ目には「委員会に排他的な特権を与える」こと、の二つが考えられます。
■鳥取県は人権後進県?
鳥取県の公式サイトを見ると、同和教育についてはかなり熱心に見えますので"人権後進県"であることは間違いないと思います。
人権問題がなければそういう取り組みをする必要もないわけですから、「鳥取県民は人権意識に乏しい」ということは言えると思います。これを否定すると、いわゆる
同和問題は部落解放同盟のジサクジエンのヤラセということになってしまいます。まぁ、そんなことはないだろうという前提で考察してみます。
鳥取県というのは全国的に見ても差別が酷い、そういう
「特殊な地域性」ですから、部落解放同盟などに付込まれる素地はあるものと思います。つまり、県民による差別が酷い県だから、部落解放同盟に税金や特権を与えることは「是」であるという考え方が通用する下地があるのではないかと筆者は考えます。
このように考えると、鳥取県議会が圧倒的多数でこの条例を可決した背景も理解しやすいのではないでしょうか。
つまり片山県知事や鳥取県議会は、委員会に税金を流す「利権構造」については、予め承知のうえで条例を制定したものと思われます。
■誰が条文を作成したのか?
上記のように「利権構造」については予め「合意」があったと思われますが、一方の「排他的な特権」について、鳥取県議会はあまり深く考えていなかったように思えます。筆者が前回のエントリーで鳥取県議会や片山知事が「騙された」可能性があると言ったのはこの点です。
条文の草案を誰が主導して作成したのかはわかりませんが、結果として
人権委員会が「過大な特権」をもつ条例となってしまったのは事実です。鳥取県議会としては「金だけを与える」つもりでろくに考えず条例を通してしまったが、「特権」までもっていかれたという構図ではないか、というのが筆者の感想です。
■鳥取県人権条例の問題点
(1)まず、条例の運用基準について、議会が人権委員会に丸投げした点が問題となります。要するに民主主義の原則から外れているんです。
何者かに排他的で過大特権を与えるというのは、ヒットラーの独裁を許した構図とおなじであり「民主主義の自殺」と言ってもいいことなんですね。
そういう意味で、鳥取県の人権条例は、条例の運用の大部分を議会で決めるのではなく、数名の人権委員会に丸投げしており、
人権委員会の決定を条例で制御できないという点で大きな問題があるのです。
(2)次に、
匿名通報を認めている点が問題です。人権問題ですから、本来は「被害者不明」であれば問題の解決法がないはずなんです。ところが匿名通報を認めたことによって、「どんな立場にある人物でも人権条例違反の容疑で調査できる」ことなってしまった事は大きな問題となります。
例えば鳥取県知事に、政治的に敵対する勢力(相手候補の支持団体など)を人権条例違反として調査対象とすることも可能です。また、事業者は怪文書を流して同業者を告発することも可能となっています。要するに
人権委員会と結びつくことで、無実の人物を容易に陥れることが可能な条例なんです。
(3)さらに、実際に事件が発生していなくとも、「人権侵害の恐れがあれば調査に着手が可能」という点が問題です。具体的にどういうものが「人権侵害のおそれ」に該当するのかは電凸でもはっきりしませんでしたが、個人の言動は予測できませんから、該当するのは
「販売前の出版物」や、「放送前のテレビ番組」などが想定されます。つまり、鳥取県の条例では、
人権委員会に「検閲」する権限を認めているのです。
■鳥取県はどこを間違ったのか?
条例を制定する必要が出てくるのは、現行の「法律では違法」とは言えないが、実態として問題がある行為を「条例違反」として取りしまる必要がある場合です。
いわゆる「淫行条例」などが該当しますが、鳥取県条例の場合は
、『対象となるのは現在でも多くの皆さんが「不当」と考えておられる人権侵害が当たり、新たに行為を規制するものではありません。』とあるように、そもそも条例を制定する必要などないのです。
修正の可能性があるので画像を
鳥取県のあやまちは、県民の多くは条例の必要性を感じていないのに、部落解放同盟などの圧力によって条例を制定したことなんですね。
本来は「必要がない条例」なので問題点の検証もおろそかになってしまった。結果として条例の内容がろくに検討されないまま議会を通過してしまったことが問題の本質なんです。
また、差別行為の是正についてですが、鳥取人権条例の第二条で想定されている程度の「差別」行為については、条例を制定する間でもなく「現行の法規」で十分に対処可能なんです。
被差別者からの相談が「裁判にならないレベル(法律に触れない程度)」のものならば、鳥取県の職員が間に入ることで十分に解決可能です。差別行為が名誉毀損や傷害その他の法律に触れるようなものであれば、それは鳥取県として解決するべき問題ではなく、司法の場で解決を図るべきものなのです。
■真の人権条例制定に向かって
鳥取県内で差別事件が多発してどうしようもない状態であれば条例の制定もやむを得ないかも知れません。
その場合でも「取締りが難しかった実例」をあげて、どのような「規制」が必要なのかを地元の弁護士会と協議しながらもっと真剣に議論するべきでしょう。
結論として、この条例は非常にデキが悪いので廃案が適当ではないかと考えます。
鳥取県民がんばれ!
参考資料
第21 条(救済措置)
委員会は、第18 条に規定する調査(前条第3項に規定する再調査を含む。)の結果に基づき、人権侵害による被害を救済し、又は予防するため、必要があると認めるときは、次に掲げる措置を講ずるものとする。
(1) 人権侵害の被害を受け又は受けるおそれのある者及びその関係者(以下「被害者等」という。)に対し、必要な助言、関係公的機関、関係民間団体等の紹介、あっせんその他の援助をすること。
(2) 人権侵害を行い、若しくは行うおそれのある者又はこれを助長し、若しくは誘発する行為を行う者及びその関係者(以下「加害者等」という。)に対し、当該行為に関する説示、人権尊重の理念に関する啓発その他の指導をすること。
第22 条(調査及び救済手続の終了等)
(3) 前2項の規定により調査又は救済措置を中止し、又は終了したときは、理由を付してその旨を申立人又は通報者に通知しなければならない。ただし、通報者の所在が匿名その他の理由により分からないとき、その他正当な理由があるときは、この限りでない。
鳥取人権条例Q&Aより
A.7 本条例の目的は、人権の侵害により発生する被害の迅速な救済ですので、対象となるのは現在でも多くの皆さんが「不当」と考えておられる人権侵害が当たり、新たに行為を規制するものではありません。「ひぼう」・「中傷」はそもそも不当なものを意味します。
|
鳥取人権条例関係メニュー(クリックで飛びます)
「さすらいの電凸(1)鳥取人権条例」
「鳥取に眠る闇(2)人権条例」
「鳥取県のウソを暴く(3)鳥取人権条例」

0