「ガセネタ「きっこの日記」−美しい国?ビックル一気飲みなのだー!」
左系サイト訪問記
■パクリ疑惑の検証
安倍氏の著作「美しい国へ(文春新書)」が、「パクリ」であるという荒唐無稽な噂が出ています。どうやら火をつけたのは、
ガセネタで有名な「きっこの日記」(ミラーサイト「きっこのブログ」)のようです。
最近では、皇室で日常的に堕胎が行われているという反日妄想バリバリの記事を書いて、削除したという事件がありました。パクリ問題もネタがネタだけに削除されるかもしれないので、一応画像もおいておきます。
だけど、この「美しい国へ」って本、安倍晋三が書いたんじゃないんだよね‥‥っていうか、書いたのは安倍か、安倍の秘書だと思うけど、これって、ある本の丸写しなんだよね。その本の名前は、「美しい国/日本の使命」って本で、久保木修己って人が書いてる。
(略)
‥‥そんなワケで、安倍晋三が、本のタイトルから内容までを丸ごとパクッちゃうほど尊敬してる久保木修己が、どんな人なのかっていうと、(略)昭和37年には統一協会に入信して、たった2年で、会長の座へと上りつめた。
(きっこのブログより)
http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2006/09/post_e670.html
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さて、言い訳のしようもなく完全に「まる写し」と書いてますね。
これが事実なら大変なスキャンダルですが本当なのでしょうか?
まる写しというほどなら読み比べればすぐにわかることなので、とりあえず問題となっている二冊を入手して比較しました。

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■「きっこの日記」がガセネタ
一読した印象は「まったく別物」というか、「どこが似てるんでしょうか?」という感じです。
類似点がほとんどないので、これを「まる写し」というのは不可能だと感じました。「きっこの日記」を書いている方は、両書籍を読んだ上で「まる写し」とか言っているのでしょうか。
ブログとはいえ公に公開されているものですから、さしたる根拠もなく「盗作と断言」するのは問題です。
客観的に見て「名誉毀損」に該当するでしょう。
「きっこの日記」がガセネタであるという結論にたどり着いたのは、筆者だけではありません。
フライデー9月22号(P16)
(略)
本誌は問題の統一教会元会長・久保木氏の著書を入手した。そのタイトルは『美しい国 日本の使命』(世界日報社)。確かに、これだけ見ると”類似本”と思ってしまう。
(略)
つまり、結論を言ってしまうと、安倍氏の著書は、久保木氏の著書の”丸写し”ではない。
「きっこのブログ」の著者氏は、他のブログを”ネタ元”に安倍批判をしているようだが、そのネタ元は、安倍・久保木両氏の著書の「各章タイトルを合体させても意味が通る」と主張し、「安倍氏は久保木氏の本を意識して書いたのでは?」と推測しているだけだ(第1章 安倍「私の原点」 久保木『日本と言う美しい国の使命』−など)。どうやら、今回ばかりは「きっこ」氏の”勇み足”だったというべきか。
ただし、両者の著書には、その根底を流れる「思想」「価値観」という部分で似通ったところがあるのも確かである。
たとえば、天皇制に対する姿勢だ。
久保木氏は「日本の万世一系の天皇、国を愛し天皇を愛する、そのような国体と精神が貫かれてきたのが日本」と天皇を敬愛することが日本人の基本精神で「あるべき姿」だと述べる。一方で安倍氏の方も「日本の歴史は、天皇を縦糸にして織られてきた長大なタペストリー」「日本の国柄をあらわす根幹が天皇制である」という。ほぼ同じと言っていい。
また、「教育を再生するためには基本は家族・家庭」という観点も同じだ。
「教育は学校だけで行なわれるものであると錯覚している人が多くいますが、本来の教育とは親が子に対して行なうべきもの」(久保木氏)
「教育は学校だけで全うできるものではない。何よりも大切なのは、家庭である」(安倍氏)
(略)
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ネットでは
「もじもじスケッチ」さんで比較記事がありますが、やはり似ていないという結論です。
■共通点の検証
フライデーは「思想」が似ていると書いていますが、この問題を考える上で久保木氏の著作の構成を知る必要があるでしょう。
久保木氏の著作は三部構成になっています。二部以降は宗教色バリバリで読むに耐えませんが、第一部は宗教色を抑え世相解説を交えながら「日本はこうあるべきである」という内容になっています。具体的にはこんな感じです。文章は引用ではなく筆者が要約したものです。
○久保木の著作「美しい国 日本の使命」より要約
日本の国土は美しく神秘的(P14)
一国主義の批判。国益を捨てても世界の為に(P23)
日本が危ない、司馬遼太郎、石原慎太郎、福田和也などの言説(P24)
天皇を中心として国民が団結し、武士道精神が日本を支えてきた(P32)
科学は人間の幸福の為に役立たなければならない(P44)
教育の基本は家庭。学校は補佐的なもの(P48)
学校に教育を任せた結果、家庭や地域社会の教育が死んだ(P48)
この辺りはそんなに違和感無く読めるのではないでしょうか。
最近のベストセラーでいうと「国家の品格」なんかでも、似たような部分がありますし、「家庭の教育」が大切というのもごく当たり前のことですね。
こういう「常識的な部分」は似ていても類似点にはあたりません。誰もが知っているからこそ「常識」なのですから。
■久保木ロジックの解析
久保木氏の論理を分析するとこうなります。
(1)日本は素晴らしい。日本は世界のリーダーになるべきだ。
(2)それには宗教の力が必要だ。
(3)統一教会が日本を宗教的に支配し世界の宗教を統一するべきである。
この論理を立てる為、特に(1)を説明するにあたって久保木氏は「常識」を利用しているだけなのです。例えば以下の文章。
こうした四季を背景に、神は日本人を、信義を重んじる、和の精神にたけた、優しいおだやかな民族に育んでくださったのです。とすれば、神はこの民族を鍛え上げて、日本を神の国の雛形として世界の誉れにしたいと願うはずでしょう。
(久保木氏の著作より P17)
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前半部分は、日本人の民族性を解説したもので
、「信義を重んじる」「和の精神にたける」という部分は、常識的な見方になります。しかしながら、後半部分で宗教色が強く出てきます。ここでいう「神」とは統一教会の教義を意味するので、内容的には???な感じになってしまいますね。
ここで重要なのは、結論が間違っているからと言って、引用したデーターが間違っていることにはならないという点です。
例えば「家庭の教育が大切」であることを肯定する方がすべて、「統一教会の信者」ということにはならないでしょう。
■週刊現代の妄想
そんな中で、週刊現代が「河野洋平からのパクリ」なる珍説を開陳しています。現在発売中の9月23日号ですが、表紙にでかでかと出ていますので暇がある方は立ち読みでもしてみて下さい。
内容はかなりトホホなものです。
(1)河野氏が1994年頃に「美しい国」論を展開した。
(2)安倍氏の「美しい国へ」は、河野氏のものとは似ていない。
(3)しかし言葉の盗用である。河野氏の主張を換骨奪胎したものである。
というものです。
週刊現代9月23日号 P37)
安倍晋三が壊れたテープレコーダーのように繰り返す「美しい国、日本」は、河野洋平自民党総裁(現・衆議院議長69才)「美しい国」を換骨奪胎したものにすぎなかった。
(略)
晋三の政権構想は河野の言葉をパクったものだが、その内容は河野の理想とは似て非なるものだと指摘するのだ。
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頭が痛くなってきましたけど、週刊誌ですからこんなものでしょう。日本語で「換骨奪胎」という言葉が意味するのは、悪い意味では「焼き直し」。いい意味では古きものに独自の改良を加えてよりよいものにする。という意味です。
安倍氏の論理と、河野氏の論理が本質的に異なるのならば、「美しい国」という言葉が一緒でも「換骨奪胎」とはいいません。 また、文化・伝統・自然・歴史を大切にするという方向性は常識的(多くの人がそう思っていること)ですから、安倍氏と河野氏の構想にこういった共通点があったとしてもってパクリとは言いません。伝統や文化を軽視すると明言するような政権構想なんてありえませんからね。
この記事を書いた松田賢弥氏は、ジャーナリストにしては言葉にルーズな感じがします。
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