高井潔司教授(北海道大学)は、
中国情報局のサイトでプロパガンダに加担している人物です。内容的にはネット時代には通用しないトンデモなものですが、その中からナショナリズムを「妖怪」と例えた部分を抜粋して検討してみたいと思います。
箱を開けて「妖怪」を解き放った小泉首相
◆ナショナリズムという「妖怪」
(略)
さらに問題は、犠牲になったのは日本だけではなく、日本が侵略したアジアの国々で日本以上に多くの犠牲者を出したという事実を無視していることだ。その歴史を直視せず、総括もせずに、参拝は日本の国内問題であるとか「心の問題」であると称して、きちんとした説明責任を果たしてこなかった。その結果、アジアの人々の憤激を招き、それがまた日本国内の反発を招いて、ナショナリズムという“妖怪”を解き放ってしまったのだ。
今年の靖国参拝直後には記者会見を開き、珍しく長めの発言を行ったが、その報道を読んでみても、靖国参拝批判に対する反発の言葉はあっても、首相はどういう思いで、A級戦犯が合祀されていることで多くの論議を招いている靖国神社を参拝するのか、さっぱり見えてこない。
例えば、「私はA級戦犯のために行っているんじゃない。戦没者全体に対して哀悼の念を表するために参拝しているんです」と述べている。この説明なら、靖国参拝の後で全国戦没者追悼式に出席しているのだから、それで十分ということになる。むしろ事情のわからない中国や韓国の人々は、靖国参拝には別の意図があってそれを隠しているのではないかという疑念を抱きかねないだろう。
さらに悪いのは以下の発言だ。「いつ参拝にいっても、何とか争点にしよう、混乱させよう、騒ぎにしよう、国際問題にしようとする勢力がある。いけないと言ったって、日本は言論の自由が認められているからどうにもならない」。これでは、日本国内で参拝批判をする人々がまるで中国や韓国に媚びて騒ぎを起こし、「言論の自由」を侵しているかのように聞こえる。偏狭なナショナリズムをかき立てかねない発言だ。
中国情報局(サーチナ) 2006/08/18(金) 10:05:09更新
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2006&d=0818&f=column_0818_001.shtml
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■軽いジャブ 一応、大学教授ということなので言葉の使い方から見てみましょうか。
大辞林より
○ナショナリズム4 【nationalism】
一つの文化的共同体(国家・民族など)が、自己の統一・発展、他からの独立をめざす思想または運動。国家・民族の置かれている歴史的位置の多様性を反映して、国家主義・民族主義・国民主義などと訳される。
○パトリオティズム【patriotism】
《「パトリオチズム」とも》愛国心。愛国主義。転じて、愛郷心、愛社精神。
靖国参拝に関する中国や韓国の反応は、「日本は俺たちに従え!」と他国に強制するものですからナショナリズムですね。対する日本の反応というのは、中韓に何かを強制するものではありませんから、パトリオティズムに分類されるでしょう。
日本語では一般的に両者を明確に区別せずに「ナショナリズム」と言うことが多いと思いますが、
「国家の品格」というベストセラーで二つの用語について解説がされており、ネット右翼界では二つの両者の区別は常識化していると言ってよいと思います。ちなみに2ちゃんねるのスレッドでも両者の解説がされていました。
高井教授のレベルが大体分かると思います。
■冷静な分析
高井教授の論理にそって分析してみましょう。
首相の靖国参拝による「世論」の違いはこうなります。
(1)中国・韓国は、日本は言うことを聞かずに生意気だという反応。
(2)日本側は、日本国の首相の行動について他国が口を出すべきではないという反応。
ナショナリズムという用語で括るならば
(1)中国・韓国の世論は、自国の意見を他国に強制する(戦争につながる)「危険なナショナリズム」
(2)日本側の反応は、自己防衛の「冷静なナショナリズム」
ということになります。
失礼ながら高井教授は「用語」もよくわかっていないようですし、ナショナリズムの危険性もよく理解していないようです。民族や国家の優越性を理由に、
他国の権利を侵害しても構わないという方向に世論が向かう場合に、ナショナリズムは危険なものとなるのです。
こんなの基礎中の基礎ですけどね。
■冷静な日本国民
靖国問題に関する日本国民の反応を、筆者は「冷静なナショナリズム」と表現しましたが、これは実態を反映していると思います。なぜならば、靖国問題に関する日本のナショナリズムは、言論空間であるインターネットを通じて高揚したからです。
マスコミがアンチ靖国の論理を声え高々に宣伝している中、ネット上では賛否両論がぶつかり合いその結果として「参拝支持」が反対派を圧倒したという経緯があります。
冷静な議論の結果としての世論ですから非常に民主的なものと言えるでしょう。
(参考 ネットアンケート)
「日刊スポーツ」 8月18日 靖国参拝7割が支持「8・15で良かった」64%
http://www6.nikkansports.com/general/questionnaire/questionnaire_060815.html
一方の
中国・韓国の反応ですが、両国とも自由な言論活動が出来る状況ではありません。反日集会や反日デモを通じた集団心理によるものです。いわば
カルト集団による洗脳と似た状態で生まれたものですから、これを正当な意見として捉えるのはそもそも無理ではないでしょうか。
■高井理論のあやまち
簡単に言うと、「言論の自由がない国家」と、「言論の自由がある国家」の世論を同列に語るのは無理なのです。
高井教授は
中国から金をもらって原稿を書いているから、中国批判ができないだけの話なのかも知れませんけどね。僅かのお金でトンデモな言説を披露しなければならない境遇には哀れみさえ覚えますが、本人は大真面目なのかもしれません。
いずれ高井教授レベルの言説は、ネット上では通用しないのは確かと言えるのではないでしょうか。
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