ということで、筆跡鑑定をしてみたいと思います。
■まず元になる画像から。

全体の印象ですが、左側の黒メモは全体的に角ばった感じ。
問題の青メモは全体的に崩れた感じで丸く、文字が小さくタイトな印象。
漢字のバランスを見ると、黒メモは下部が広目で安定した感じ。青メモのほうは下側が狭く粒が揃っている印象。
パッと見は別人が書いたように感じるのではないでしょうか。
公文書を記述する時と、私的な日記などを書く場合とで文字の崩し方が違うことはありますが、両方とも仕事に関係したメモという性質を考えると、数日の間に文字の印象がこれだけ変わるのは不自然です。
■筆順の違い
中曽根の「根」。所長の「長」。足の部分に注目して下さい。
何となく似ている感じはしますが、足の部分の形が違っていますね。
黒メモが一筆で書いているのに対し、
青メモのほうは二筆になっています。崩して書いてある青メモほうがニ筆になっているというのは妙ですね。
文字の形は似せれても、筆順というのは個人のクセが出るものです。
■点の角度
意見の「意」の足の部分は「心」です。点の角度に注目して下さい。

左側の点の角度が、黒メモは内側向き。
青メモのほうは外側に向いています。
■点の位置
さらに二個並んだ点の位置を見てましょう。
黒メモのほうは外側の点と接触していますが、青メモのほうは内側の点と接触していますね。
点の位置や角度というのは個人のクセが強くでる部分です。数日の間に変わるということはありません。
■数字の書き方
数字のバランスを見てみましょう。

2の足の部分というのも個人のクセが出る部分です。
黒メモのほうは直線的。アルファベットのZに近い感じ。
青メモのほうは丸めてアーチ状になっている雰囲気です。
また
4の横幅も問題です。
黒メモが狭いのに対して、青メモのほうは明らかに広いです。
■ひらがなの比較「て」

黒メモのほうは、「て」の尻尾の部分が直線からやや下向きの印象ですが、青メモのほうは上向きに弧を描いています。
黒は直線的、青は曲線的という全体的な印象、数字の2のクセに近い傾向が出ています。
さらに、「て」の最後の部分ですが、黒メモのほうはしっかりと止めています(太く黒くなっている)。一方の青メモのほうは抜いてある感じです。
こういう単純なクセというのは隠しがたいし、真似し難いものとなります。
■偽造説
ということで、前回の紙質の検証、今回の筆跡鑑定を見る限り、筆者としては
「双方のメモは同一人物が書いたものではない」と結論します。
黒メモは四月二十六日、青メモは四月二十八日の日付になっています。ほんの数日で筆跡が大きく変わることはありえません。
ということで、筆者としては(今のところは)少数意見である
「捏造説」を支持したいと思います。
■日経新聞の責任
日経新聞は、わざわざこの時期に怪しげなメモを持ち出して、A級戦犯合祀について政治問題化を図ったわけです。
このように、
客観的な不審点が指摘されている以上、資料を公開する責任というものが日経新聞にはあるでしょう。
筆者の鑑定は非常に初歩的なものですが、逆に言うと、
初歩的な鑑定でも分かる程度に怪しいということができるわけです。
話のもって行き方としては
、「偽造説」で押して日経新聞に資料を公開させるのが早いでしょう。富田メモの原本をもとにした偽造であれば、内容を追っても意味がありませんから。
よろしくお願いします。
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