■12月18日付け朝日の社説なんですが、要約するとこんな感じです。
(1)民主党は鳩山・菅の時代に中国共産党とパイプを作った。
(2)小泉自民党が中国と首脳会談ができない今こそ、そのパイプを生かすべきだった。
(3)前原氏自己主張は結構だが、中国の国家主席と会談できなければ意味がない。小泉首相と同じである。
(4)よって、民主党の党内で前原批判が出てくるのは当然である。
(5)外交でも内政でも民主党が埋没している。
(6)前原氏は代表に就任してから間もないので、これから党内で議論をするべきだ。
で、論旨が幼稚なのはこの部分。
朝日新聞 【社説】2005年12月18日(日曜日)付(抜粋)
民主党 ここはしっかり論争を
(略)
国家主席らに会って、日中関係かくあるべしと堂々と持論を展開する。小泉首相にはできないことをやってみせるところに、最大の狙いがあったはずだ。手痛い失敗というよりない。 「言うべきことは言う」のスタンスは結構だが、対話できなければ首相と同じことになってしまう。大会で代議員たちから批判を浴びたのも当然だろう。
(略)
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小泉首相と胡錦涛国家主席が会談していないのは、小泉首相の靖国参拝に中国が抗議しているからですね。中国側もそのように言っていますから、これは事実と考えて問題ないでしょう。
しかしながら
前原氏は"靖国参拝に反対"なんです。
この点で小泉首相と前原代表は異なります。
もうちょっと噛み砕いて説明すると。(A)胡錦涛国家主席と会談できなかった、という点で両者は共通しますが、
(B)「会談ができなかった理由」は異なる。ということなんです。
■会談ができなかった理由
前原氏が国家主席と会談できなかった理由は、前原氏が「中国脅威論」を主張したことにあるようですが、「考え方が違う」というのが「会談を拒否する理由」として適当なのでしょうか?
例えばですね、小泉首相が他の政治家に向かって「お前とは考え方が違うから会わない」、と言ったら問題になりますよね?
考え方が違うからこそ、その溝を埋める為に「話し合い」が必要というのが民主主義の考え方です。もっとも中国は共産党独裁国家ですから、民主主義とは相容れないのかも知れません。
要するに、民主主義のルールで考えれば、話し合いを拒否する「中国の態度が批判の対象」になるのであって、民主主義のルールで考えると小泉首相や前原代表は批判の対象にはならないんです。
■目的と手段
朝日新聞の論理は、とにかく「会談が出来れば成功」というものです。つまり
「胡錦涛国家主席との会談」を最終目的と考えているようです。会談する為の手段として「とにかく中国を批判するな」と主張しているわけですね。
世間一般的なレベル<で考えると、「会談」というのは手段であって最終目的ではありません。外交目的を達成する為の手段のひとつに「首脳会談」があるのであって、目的が達成できるのであれば、首脳会談が行われなくともよいのです。
要するに、朝日社説の「会談が最終目的」という考え方は極めて幼稚なんですね。
これは会社を考えると分かりやすいかも知れません。
細かい取引は実務レベルで話し合いがもたれるのであって、社長と面会しなければ取引ができないということではない。日中間についても同様です。国交が断絶しているわけではなく、実務レベルでの話し合いは行われています。それで問題がなければ
首脳会談をしなければならない必然性はないんです。
■ネタ帳−朝日新聞
以上のように「民主主義の原則」や、「目的と手段」の区別ができない方が朝日新聞で社説を書いているということで、さすがに
朝日新聞は期待を裏切らないなと思いました。ブログのネタとして貴重なので、今後もこの調子でお願いしたいと思います。
■前原代表の決意
共同FLASH24 2005年(平成17年)12月18日より
集団的自衛権で多数決も 党内集約で前原代表
民主党の前原誠司代表は18日午後、京都府精華町で記者会見し、集団的自衛権の行使に関連し「(民主党は)結論を出せない繰り返しを今までやってきたわけで、決める時には民主主義だからそういった(多数決の)考え方も取らざるを得ないのではないか」と述べ、党内意見の集約を図るため多数決での決定も辞さない考えを表明した。
前原氏は来春、外交安全保障ビジョンの草案を発表する予定だが、集団的自衛権行使の容認を盛り込み、党の政策としてまとめたい考えだ。
ただ前原氏は憲法改正問題では「集団的自衛権の話だけではない。全体の話だ。多数決で(すべての)憲法改正の議論をまとめることは違うのではないか」と指摘、憲法改正のすべての議論を多数決でまとめることには慎重な姿勢を強調した。
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前原批判として「党の総意でないことをしゃべるな」というものがありましたが、ならば
「党の総意ってなによ?」ということになりますよね。そこを煮詰めないで党首を批判する民主党の体質もかなり「おかしい」と感じます。
世界的に見れば「個別的自衛権」と「集団的自衛権」を分けて考えているのは日本くらいですから、民主党の党内で多数決をとれば「集団的自衛権を容認」する方向にいくと思います。その時は民主党の左よりの方も「党の総意」に基づいて発言して下さいね(笑
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