今年も例年以上に忙しく、 一年があっという間でした
今年最後にブログを 掲載させてもらおうと思います。
私の所によく来るのはやはりレンズのバルサム並びに研磨といった形の
ご依頼がよく来ます。
バルサムに関しても、接着がどうしても外れないものが、稀にございます。
その際中に焦げた状態になったりレンズが、かけたりする恐れがあるということを
お客様には承諾して頂いております。
その際お客様からよくご質問を受けるのがどれぐらいの割合でかけたり焦げたりするの?と
ご質問を受けます。
確率的に申し上げることはすごく難しいのですが・・・
2〜5パーセントぐらいではないでしょうか??
元々膨張率が合わないレンズは、こちらの方であらかじめわかっているので
お断りするケースがありますが、
ご依頼を受けたレンズで、今年一年間割れたり焦げたりしたことはありません。
ただしレンズ自身に、個体差もあるのでそうなる瞬間をセーブすることはできません。
なのでお客様にはいつもご了承を頂いております。
あとよくあることは、お客様のイメージで
傷を研磨して綺麗にしたら、さっと元通りと思われるお客様が多いです。
その際お答えするのが 、研磨とはガラス面が減っていくことです。
なので解像力やピントに傷が深い場合影響が出ますと申し上げます。
そこでお客様側からのご質問なのですが! じゃあどのくらい削りますか???
傷の深さによって変わるので傷が消えるまで削るとしかお答えできません 。
ミリ数に直すと0.0001〜0.01と、もし私がお答えしたらご理解いただけるのでしょうか??
おそらく 数字で何もわかることができません
なので私はいつも解像力に影響が出るか出ないか、という範囲でお答えするようにしています 。
厳密に言うと研磨すると、全て解像力に影響が出ます。
それが1ミクロンでも嫌だというお客様には全くオススメしておりません 。
現場きれいになりそして、フィルム面に、ある程度違和感のない状態で撮影できる状態であれば、選択の余地はあると申し上げる程度です。
お客様の綺麗にしたいという、お心も分かりますし、レンズ自体物体を投影するものですので、ダメージをつけたくないという気持ちも分かります。
この辺の微妙なさじ加減が、私の仕事の中で最も難しい部分でございます。
やはりお客様との信頼関係の上にしか、この仕事は成り立ちませんので、
気心が知れるぐらいお付き合いしていきたいと考えております。
長々と語ってしまいました 。
話は、変わりますが今年修理させていただいた、心に残っている、カメラやレンズを、
少し紹介いたします。

ズミクロンのメガネ
これもよく来ます!
他社では禁句とされている、メガネ部分の清掃なのですが
割れないかカケないかと心臓をドキドキさせながら
させていただいております。
これも若い頃からさせていただいてもう20年以上になりますが
端の方が欠けたのは2〜3回です。
ほぼ使えなくなるような割れ方はしたことがありません。

ハンザキャノン
このカメラも、ちょこちょこ来ることがあります。
このカメラは古いもので結構皆さん大事にされて保管されているので、
それがアザとなって全体が固着して整備が思うように進まないケースが多々あります。
適当に、風に当てて作動させているともっとスムーズに調整で済んだはずなのですが
大事にされすぎて奥の方に梱包されたままということがよくあるカメラです。
ただ作動すると精度はすごくいいです。
このパーツはホースマンの原型と言われているホフマンの
パーツを私が加工して作ったものです。
すごくカメラ自体を愛されている崇高なお客様から
お預かりしたものなので、できるだけ時間をかけて精工な状態まで
制作させていただきました。
思い出深い、お仕事をさせていただきました
写真左が全て私が作ったものです、写真右がオリジナルのパーツです。
ネジの形状サイズまでびたびたに作らせていただきました。

これは最近よく来る
ズミルックスのアスフェリカルの後玉です。
このレンズには後玉に何かしら製造工程の欠陥があるように思われます。
検証したわけでは、ありませんので私の持論です。
これはバルサムが劣化した状態なのですが、
バルサムとは名ばかりで最近は、UV硬化剤というものが主流となっています。
今までのバルサム蒸着のような、やさしい状態では分解はできません
ではどうやって分解するのか?ここは企業秘密としておきます。
これは、メーカーサイドでアッセンブリー交換となるのでかなり高額な金額が発生するらしいので
持ち込まれるお客様も多くなってまいりました
私自身も経験が少ないぶんすごくドキドキです。
こういった感じでまだまだ話は尽きないのですが、
あまりにも長い掲載になってしまいますので、この辺にしておきたいと思います。
今年はまだ冬らしい冷え込みも私自身感じられません。
しかしながら、時は刻々と真冬へと向かっておりますので、皆様お体にはご自愛ください。
それでは良いお年をお迎えください。
橋本カメラワーク橋本博