元・外務省の医務官として勤務した著者が、芥川龍之介の短編の中には現代の医療や介護の現場にも通じるテーマが多い、と想を得て生まれた作品です。
医師の不気味さを描く「極楽変」、介護現場の妄執を写す「バナナ粥」、患者のエゴを風刺する「クモの意図」など、文豪・芥川龍之介の代表作をモチーフに、毒とユーモアで生老病死の歪みを抉り出す7編を収録。各編のタイトルが、実際の芥川作品のタイトルを捩ってあるのが面白い!
学生の頃、芥川作品にはまって読み漁っていた担当にはたまらない作品です。まず原作を読んでからからこれを読むか、またはその逆にするか…迷いますね。
よろしければ、ぜひ皆さまも手に取っていただければと思います!

『芥川症』
新潮社・発行
久坂部羊・著
1,620円

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