年は中原淳一生誕100年です。
おそらく皆さんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
ちょっと首を傾げて上目遣い。花弁のような唇に大きな目。
まだまだ日本画的な挿絵が主流だった時代に、キラキラお目目に下睫毛バシバシのイラストを描いて世のお嬢さんたちの心をつかみました。
イラストレーターとしてのイメージが強いかもしれませんが、デザイナー、スタイリスト、ヘアメイク、作詞もすれば街のご婦人達のファッションチェックもする、とても多才な人でした。
そんな中原氏が書いたエッセイは、一言で言うなら『女磨きの書』。
ファッションはもちろんのこと、立ち居振る舞いや仕事の心構え、日々の生活をちょっとおしゃれで幸せにする工夫など、多岐にわたってつづられています。
その内容は現代にも通ずる普遍的なものも多く、その細やかさたるや、あなたはマナー講師か! と思わず突っ込みを入れたくなるほど。
ですが、洗面所のタオルや下着にまでこだわり、そして内面の美しさを何よりも大切にし、言い聞かせる彼に呼びかける言葉は、「講師」や「先生」よりもやはり「お母様!」がふさわしいでしょう。
女性以上に女性の魅せ方を熟知した人による、美のバイブルです。

『結婚二人のしあわせ』
中原淳一エッセイ画集3
平凡社・発行
中原淳一 中原蒼二・著
1,680円

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