最近むさぼるように本を読んでいるワリに、ネタになりそうな本がぱっと浮かばないので、先日遭遇したはじめての恐怖体験を語らせていただきましょう(ホントに本なネタがない)。
申し訳ないくらいに書籍とは関係ない、ちょっとした恐怖体験です。
恐怖体験っても、気のせいと言われればそうなんだけれどね…。
なんといいますか、一年強闘病した父が亡くなりまして、あれよあれよと葬儀の日になりました。葬儀場一泊二日コースです。
そしてこの葬儀場の休憩室(兼宿泊室)、ずーーーーーーーっと、もうずーーーーーーーーーっとパシパシ音がなっている。家鳴りとかいう頻度じゃない。空調の調子がずいぶん悪いんだな、と流していたのですが、その夜。
疲れて夢の中にいる家族の脇で、私は頭をかかえながら弔辞文を書いていました(感動から程遠いあんな内容でも、私なりにすごく考えて書いたのです)。
と、ふとした瞬間、パシパシ音が廊下からしだしまして、へ?と廊下に続くふすまに目をやったのです。しかもこの音は、今まで聞こえていた音とあきらかに異なりまして、あげく、近づいてくる。「うわぁ」、です。「うわぁ」。
ドキドキしながらふすまを見つめる私。近づいてくる何か。
私というキャラクター的には開けるべきだったのかもしれないけど、この瞬間はそんなこと言ってはいられない。霊感は無いが、身を守るための第六感は信じなければ。ふすま!今晩おまえを開ける事は絶対、無い!!!
キノセイダヨキノセイ!と、ふすまをチラチラ見ながら(隙間は見ない)弔辞文をサカサカまとめ、大急ぎでふとんへダーイブ…とはいかず、四人泊まりなのにケチって二枚にしたふとんに入れず、しかたなく座布団をつなげてオヤスミナサイ……ふすまが見える気になる眠れない。
言わせて下さい。
いる。
ふすまのすぐそばに一人いる。
大人。
男性。
入れなくって様子をうかがってる。
ムリです(((^T^)))
ふすまを越えて入ってこれないのを幸いに、妹を蹴飛ばしすきまを作り、座布団をつっこんで眠りました。だって疲れてるもん!!!
あの方ね、お父さんではなかったよ…。
後日、担当してくれた葬儀屋さんのお兄さんに「あそこってそういう話ききますか?」とたずねたところ、「私は見たことないですけどね、あります」との一言をいただきました。場所柄でしょうか。女性だったり子どもだったり、いろいろだそうです。
二つある出入口ふすまのうち、廊下にまっすぐつながるそこ一か所だけだったからね、超次元的存在な方々の通り道っだんだろうなぁ。
問題はあのパシパシ音。あれが世にいうラップ音だったのか分からずじまい。ラップ音って言うには鳴らしすぎだと思うんだ、超次元的な存在の皆さん…。
あとはね、ここまで打ち込んで思ったのは、稲川淳二的な怖い語り口調を意識しても怖くならねぇなってことですか。稲川さんの怖い本、あれは技術がつまってますよ!

『「超」怖い話ベストセレクション 3』
竹書房文庫
平山夢明・著
800円

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