2015/1/1

VARIETY  30th Anniversary Edition  音楽

竹内まりやの真骨頂は、“人生の応援歌”ではない

竹内まりやの新作「トラッド」が売れている。昨年のレコード大賞の最優秀アルバム賞も受賞した。ボーナスDVDが欲しくておれも購入したが、最近の竹内まりやの音楽に違和感を感じているのも事実だ。音楽の傾向のテーマが、かつての西海岸的なものから、人生の応援歌になりつつあることだろうか。

これは夫君の山下達郎が、音へのこだわり、ライブ会場の音響にあれだけこだわっていたのに、最近では野外ライブにも出ていることにも通じているのではないか。大阪城ホールや野外ライブでは、自分の求めている音が再現できないと常々口にしていたように思うのだが。

孤高のイメージのあったオフコースの小田和正が、還暦を迎え、かつての自分の態度を反省し、ジャンルの違うアーティストや若手のシンガーたちと「クリスマスの約束」で共演しているように、還暦を迎えた山下達郎は自分の音の基準を緩和したのかもしれない。同じように、かつては西海岸をテーマにしていた竹内まりやも還暦を迎え、年齢にふさわしい人生の応援歌に方向転換したのかも知れない。淋しい話だ。

新作「トラッド」の発売と同時期に、竹内まりやはかつてのヒットアルバム「VARIETY」の30th Anniversary Editionを発表した。これが実に良いのだ。人生の応援歌なんて微塵も感じさせない魅力にあふれている。

「VARIETY」は1984年発売の作品だ。これは今までのアルバムを総じて貫いていたテーマの西海岸を、英国リバプールすなわち、竹内まりやが影響を受けたビートルズ等をテーマにしたような仕上がりになっている。1984年版の曲を全曲リマスターし、7曲のボーナストラックを付けたのが2014年の30th Anniversary Editionだ。

「VARIETY」は当時に人気のあった不倫ドラマ「くれない族の反乱」の主題歌の「もう一度」、清涼飲料水「リベラ」のCM曲で、音楽の冒頭の部分が「結婚行進曲」になっている「本気でオンリーユー」が収められており、アルバムは驚異的なセールスになった。しかしこのアルバムでお勧めしたいのは「プラスティックラブ」だろう。山下達郎がライブアルバム「JOY」でカバーしており、これもすごく良いのだが、本人の同曲オリジナルはいい。特に、1984年アルバム発売時に同時発売された12インチシングル盤がボーナストラックに収められているのが嬉しい。カラオケやクラブミックスも含め、7曲のボーナストラックをぜひ聴いてみて欲しい。

何度も繰り返すようだが、竹内まりやの魅力は、人生の応援歌を歌うことではなく、1970年代の西海岸やリバプールの新しい風、レモンライムの青い風をわれわれファンに伝えることだったと思うのだが。

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2012/6/4

ひとかけらの夏  音楽

ブーム再燃か、夏の音楽・村田和人の名盤

1983年に出た村田和人のセカンドアルバム「ひとかけらの夏」が再発売されたので、毎日のように聴いている。いや、これはいい。1983年と言えば、今から29年前だがまるで古さを感じさせない夏のアルバムだ。特にマクセルカセットテープのCMに使用された「一本の音楽」が素晴らしい。いや素晴らしすぎる。

当時19歳だったおれは、大滝詠一や山下達郎、伊藤銀次などのポップス(まだJ−POPという名称がなくニューミュージックと括られていた気もする)を聴いていたのだが、もちろん村田和人の名前も知っていた。しかし山下達郎の亜流だという気がして聴く機会がまったくなかった。

村田和人の師は山下達郎であることは間違いない。村田の名曲「電話しても」に惚れ込んだ山下が、村田をプッシュして、デビューさせたという有名なエピソードがある。現在の山下達郎のライブツアーの男性コーラスは元スターダストレビューの三谷泰弘だが、元々は村田和人が担当していた時期もあったのだ。これは山下達郎のライブアルバム「JOY」の中でも紹介されている。

「一本の音楽」は、マクセルのCMに起用されたと書いたが、師である山下達郎も名曲「ライドオンタイム」がマクセルのCMに起用された。本人自身がなんとCMに登場している。「一本の音楽」はまさに夏の音楽だ。それも最近ではない。古さを感じさせない、あの頃の夏の音楽だ。最近、山本達彦や岩崎元是や村田和人、須藤薫のCDを次々と買うのは、音楽を聴きたいと言うより、過ぎ去ったあの頃を買い求めようとしているのかもしれない。

この夏にぜひ、村田和人「ひとかけらの夏」をお勧めしたい。

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2012/1/16

1969  音楽

古さを感じさせない、歌姫・由紀さおりのニューアルバム

由紀さおりがジャズ調のアルバムを出したと聞いてもそれほど驚かなかった。実は布施明もジャズのアルバムを出しているわけだから、素晴らしく歌の巧い由紀さおりがジャズ調のアルバムを出したとしても不思議ではない。若手のJUJUですらジャズアルバムを出しているのだから。そんな由紀さおりが人気ジャズオーケストラグループのピンクマルティーニと組んだ。それが「1969」だ。想像以上に素晴らしい内容だった。

おれ自身はピンクマルティーニというグループは知らなかった。世界中で260万枚の売上実績を持っているらしい。まだまだ世界には知らないアーティストやグループはいるのだ。アルバムのテーマはアルバムタイトルにもなっている「1969年」。1969年に関係する日本の曲やラテンを取り入れている。収録されている曲は、いしだあゆみのヒット曲「ブルーライトヨコハマ」や由紀自身のヒット曲「夜明けのスキャット」も収められている。由紀さおりを知らない人でも、「夜明けのスキャット」は知っているかも知れない。

購入した夜、コーヒーを飲みながら、そして今、日本茶を淹れて飲みながら聴いてみる。夜更けに聴くにふさわしいムーディな曲が揃っている。姉の安田祥子と一緒に日本各地で童謡を歌うツアーを組んでいる由紀さおりだが、思いもよらない海外進出。ピンクマルティーニのリーダーのトーマス・M・ローダーデールが、米国ポートランドのレコード・ショップで、たまたま手にした由紀さおりのレコードを聴き、その歌声に惚れこみ縁ができたらしい。姉妹でコンサートで童謡を歌い、情報番組のMCで笑わせてくれていた由紀さおり。彼女の海外デビューは我々にとっても嬉しいことだ。そしてアメリカでは、このアルバムにより人気が急上昇しているという話も嬉しい。

個人的には、往年のヒット曲がピンクマルティーニによってお色直しされた「夜明けのスキャット」がいい。

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このアルバムは日本盤と海外盤が販売されている。違いは日本語の帯、詞の書かれたライナーノーツの有無、そして曲順が違うだけ。海外盤の価格は日本盤の約半額。購入されるなら海外盤で良い。
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