2012/5/23

へうげもの  読書

古田織部、この素晴らしき数寄者の鏡

以前より、週刊「モーニング」で連載されていることは知っていたが、改めてきちんと読むことにした「へうげもの」(読みは“ひょうげもの”)。いやはや、この漫画の深さには恐れ入った。

舞台は戦国時代。織田信長の使い番(連絡係)を務める武将の古田左介(後の古田織部)は、武将としての功名を上げることにこだわり、また物欲にもこだわる男でもあった。有名な茶道具を見れば欲しくて欲しくてたまらなくなり悶絶する。そんな古田左介が信長の天下布武、本能寺の変を経て、秀吉の天下統一と共に、天下に名を轟かせる茶匠であり武将になっていく物語だ。焼き物で有名な「織部焼(おりべやき)」は彼から名付けられたものなのだ。

この「へうげもの」の根本を成すものは茶道である。茶道は、禅宗の始祖でもある栄西禅師が中国より茶種を日本持ち帰り、室町時代より発展を遂げた日本独自の文化でもある。茶道は習ったものにしか、その世界観がわからない部分がある。たとえば、茶道の世界に不可欠な“わび”とは何か。“わび”とは見たままの美しさではなく、心に感じる美しさのこと。たとえば茶室を例に挙げると、金箔を貼った秀吉の豪華絢爛な茶室ではなく、たった二畳しかない、千利休の粗末な待庵(という名の茶室)に我々は心惹かれる。これが“わび”の精神なのである。

おれは10年ほど前に、短期間だが裏千家の茶道を習ったことがある。男が茶道と笑うなかれ、本来茶道は男の嗜みであり、女性はほとんど参入できない世界であったのだ。おれは茶道の礼節よりも、茶道具に興味があったことと、和の世界が好きなので習うことになった。結局、体重過多による正座に耐え切れずに茶道をやめてしまったが、今から思えば実に良い趣味だったと思うし、万が一痩せることがあるのなら、また習いたいと考えている。

「へうげもの」はそんな一部の識者にしか開かれていないと思われがちな茶道を、昇進と物欲(左介は茶道具収集マニアだが)をテーマに描き切った作品だ。通常は真面目に信長・秀吉に仕えている左介が、名高い茶器を見た時の、欲望丸出しの顔が本当におかしい。

「へうげもの」は現在、日曜深夜にNHKで放映中だ。原作漫画も佳境に入りつつ、連載中。お勧めしたい。

クリックすると元のサイズで表示します


クリックすると元のサイズで表示します


クリックすると元のサイズで表示します


0



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ