Twitter:@arisamag2

2015/5/2

理屈っぽい男は嫌われるらしいよ  アニメ
 ネット界隈を眺めてると「定期的に出てくる話題」ってのがありますよね。

 こないだから数日程、何度目かの「トランスフォーマーはなぜアニメ批評論壇から無視されるのか」系の議論をあちこちでやたら見かける。面白いのもありつまんないのもあり。

 まあ、アニメ批評論壇にとりあげられるような作品ととりあげられないような作品では後者の方が圧倒的に多いのでTFが後者の側だったとて何の不思議があるのか……と一番つまんないことを口走ってみたり(笑)。

 以前にも書いたが、所謂ロボットアニメ史(マジンガーZ誕生〜ライディーン〜長浜ロマン〜富野〜ガンダム〜リアルロボットアニメブーム崩壊まで)てのは、リアルタイム視聴世代の精神的肉体的成長に寄りそっていた面があり(平たく言うとマジンガーZで衝撃を受けた幼児〜小学生がガンダムまでつきあってた)、後から来た世代もなぜだかそれを引きずっていて、つまりリアルロボットアニメブーム崩壊時のリアルタイム視聴世代の最高年齢(高〜大ぐらい?)を対象年齢に含めていない作品というのは以降の歴史では批評されづらいという側面が強い。勇者シリーズの作品毎の露骨な人気差とかな(笑)。

 そんなことはともかく、トランスフォーマーの場合、批評界隈に無視されたと言うより、その評価が「誤読」だった可能性が高いんじゃないかなーと思う今日この頃。

 先日、「トランスフォーマーアドベンチャーは所謂怪獣物に括られる作劇の内容で、従来トランスフォーマーの軍団抗争物とは異なる」と言う話をしましたが、ロボットアニメ史的に「ロボットアニメの原点」と評されることの多いマジンガーZ(その直前のアストロガンガーもそうだが)が「怪獣物」なんですよ。

 マジンガーZは、第二次怪獣ブームが変身ブームに移行し、その中で「よりリアルな“巨大変身ヒーロー”とはなんだろうか→主人公の肉体そのものが巨大に変わるのではなく人工物であればよい」というロジックで当時のトレンドに乗っかっているのです。(←ただし、永井豪がそう考えて作ったとは言わない。結果的に「そういう作品」になったということだ)

 我々が普段「ロボットアニメ」とか「ロボット物」と呼んでいる作品の殆どは、その当時の流行ジャンルに「ロボット」を足し算することで成立している。鉄人28号は少年探偵マンガにロボットを足し算し、マジンガーは変身ヒーローにロボットを足し算し、ガンダムはスペースオペラにロボットを足し算した。ワタルはRPGとビックリマンシール、メダロットはポケモンのロボット化でダン戦はホビーアニメにロボットを足し算だ。
 トランスフォーマーも実は当時アメリカの玩具業界のトレンドが『ヒーマン』を起点とする「善悪軍団抗争物」だったからああなっているわけだ。

 ところがトランスフォーマー放映当時、そのヒット要因をこう分析したアニメ評論家や業界人が多くみられた。

「トランスフォーマーはロボットアニメの原点に回帰したシンプルな作劇が幼児を中心に受け入れられた」

 これは、正しいけれど間違っている。シンプルな作劇が幼児を中心に受け入れられたのかも知れないが、仮にこの場合のロボットアニメの原点をマジンガーZに求めるなら、実はジャンルそのものが違う。
 軍団抗争を軸にした物語であるトランスフォーマーはその後のビックリマン大ヒットの先駆けと言えるのだ。

 しかし、この評は受け入れられ、トランスフォーマーに対抗して生みだされた『マシンロボ クロノスの大逆襲』は途中の路線変更が入るまで「毎週登場する傭兵コマンダーをロム一行が退治する」、まごうことなき「怪獣物」だったのだ。(まー怪獣っつうか格闘家っちゅうか)

 その後もこの「誤読」は続き「キッズ向けロボットアニメの原点回帰だ」と言っては怪獣物のフォーマットで作られる……というか、いつしか人はロボットアニメに「原点」があるものと勘違いして、それがぶっちゃけ「あるジャンルのバリエーション」に過ぎない事を忘れちゃったようである。(言い換えると「あるジャンルのバリエーション」だったものが大量に量産されることで「ジャンル化」したのであって「ロボットアニメ」という「純粋に全てのジャンルから独立したカテゴリー」が存在していたわけではないということ)
 なので例えば「怪獣物」のフォーマットを取りつつ、「毎回登場する怪獣こそがある意味主役なのでしっかり描こう」という発想が出てこなくなる。
 王道の展開、熱血、合体バンク、大張パースといった表層だけが持て囃されていくのだ。

 では『トランスフォーマーアドベンチャー』は西洋からやってきた「ロボットアニメの原点」なのか?……と言われると……。

 だから他のジャンルにロボット足し算する形式だから原点なんか無いってのがこの記事の主旨だよわかれよ(苦笑)。

 ない「原点」を求めようとするから「ロボットアニメの原点回帰」を銘打った作品はおかしなことになっていく……というのは言い過ぎか。

 それでも無理矢理原点を求めるならば……「ロボット引き算して考えても充分に面白いが、ロボット足し算することで更に面白い」……そういうのが「ロボット物」の原点と言えば言えるんじゃないかな。

 ホントに「ロボットについての物語」として定義しちゃうと、どうしてもアシモフの世界に行っちゃうから、それは流石に日本人的感覚とは違うよね。
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