今朝、散歩道、長年の空き地に、
背高泡立ち草が天に向かっていくつも突き出ている。 黄色く輝いた穂に、黒い斑点も鮮やかにオレンジ色の
キタテハが止まる。穂が大きく揺れる。
また一つ向こうの穂に
モンシロチョウ が止まる。穂がかすかに揺れる。どうも夏のモンシロチョウとは違う。ひょっとしたらそれは、モンシロチョウではなく、私の名前の知らない、もともと、そういう色の蝶なのか、それとも秋の陽射しが、モンシロチョウの透明感を消してしまうものなのか。くすんでいた。
背高泡立ち草は、人間にとって、アレルギーの元凶の一つと敬遠されがちな植物なのだが、蝶にしたらオアシスらしい。そのオアシスを背景に、ゆったりとした時間が流れる。きっと正岡子規もこういう時間の中にいたに違いない。
情なう色のさめたり秋の蝶
「寒山落木 巻一」 正岡 子規

0