十二月八日は、針供養。(関西では、十二月八日、関東では二月八日らしい)裁縫をする人たちが、こんにゃくに針をさして、神社に奉納して上達を祈願する。
そして今日は、真珠湾攻撃の日。そこでこの作品を選んでみた。
千人針 寺田 寅彦
戦地の寒空の塹壕(ざんごう)の中で生きる死ぬるの瀬戸際(せとぎわ)に立つ人にとっては、たった一片の布片(ぬのきれ)とは云え、一針一針の糸に籠められた心尽しの身に沁(し)みない日本人はまず少ないであろう。どうせ死ぬにしてもこの布片をもって死ぬ方が、もたずに死ぬよりも心淋しさの程度にいくらかのちがいがありはしないかと思われる。
ある夜の祖母と孫の会話より
「兵隊さんのためにわしらは、
千人針 を縫ったものだよ」
「千人針ってなあに?」
「白い布に赤い糸で兵隊さんの名前を縫ってあげたり、勇ましい漢字を縫ったりしたもんだ」
「ふうん、縫ってどうなるの?」
「国にいるみんなからの思いなんだよ」
「みんなの思いってなに?」
「一生懸命戦ってくださいって、兵隊さんには、みんなが付いているから。」
「一生懸命戦うって、どういうこと?みんながついているからって・・おばあちゃん。あたし、意味がわからない。戦争って人を殺したり、自分が死ぬんだよ」
「そうだね、意味がわからないね。おばあちゃんの兄弟も戦争で死んだ。とにかくおばあちゃんは、もう戦争はいやなんだ。さあ・・もう寝ようかね、明日、学校だよ」
今週のAsahi weeklyより
It is forbidden to kill;therefore all murderers are punished unless they kill in large numbers and to the sound of trumpets. ――
Voltaire
Voltaireーwikipedia
ある日のテレビ番組より
戦争で家族を殺されて、一人残されたイラクの少女は、漆黒の眸を伏せて呟いた。
「生きていくのが辛い・・」

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